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平成12年 2月定例会本会議-03月03日-05号

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  1. 長野県議会 2000-03-03
    平成12年 2月定例会本会議-03月03日-05号


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    平成12年 2月定例会本会議-03月03日-05号平成12年 2月定例会本会議 平成12年3月3日(金曜日)  出席議員(62名)   1 番    竹内久幸    23 番    佐野功武   2 番    柳田清二    24 番    花村薫平   3 番    西沢正隆    25 番    村石正郎   4 番    金子ゆかり   26 番    奥村 剛   5 番    浜 康幸    27 番    久保田元夫   6 番    垣内基良    28 番    木下茂人   7 番    鈴木 清    29 番    塚田 一   8 番    向山公人    30 番    望月雄内   9 番    下村 恭    31 番    高橋 宏   10 番    堀内 瑛    32 番    寺島義幸   11 番    丸山 茂    33 番    母袋創一   12 番    藤沢詮子    34 番    萩原 清   13 番    宮澤敏文    35 番    宮沢宗弘   14 番    牛山好子    36 番    柳沢政安   15 番    百瀬喜八郎   37 番    大和代八   16 番    佐々木祥二   38 番    倉田竜彦   17 番    風間辰一    39 番    島田基正
      18 番    山元秀泰    40 番    服部宏昭   19 番    平野成基    41 番    今井勝幸   20 番    本郷一彦    42 番    中村善行   21 番    小林伸陽    43 番    井出公陽   22 番    石坂千穂    44 番    太田道信   45 番    池田益男    54 番    古田芙士   46 番    塩沢 昭    55 番    下﨑 保   47 番    佐藤良男    56 番    小林 実   48 番    小林忠司    57 番    宮沢勇一   49 番    森 司朗    58 番    吉田博美   50 番    森田恒雄    59 番    中島輝夫   51 番    浜 万亀彦   60 番    石田治一郎   52 番    中島昭一    61 番    篠原文三   53 番    小田切行雄   62 番    西山平四郎         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        吉村午良    企画局長      青木輝政   副知事       池田典隆    副出納長兼会計局長 内田雄治   出納長       古越典雄    公営企業管理者   飯澤 清   総務部長      花岡勝明    企業局長      藤井世高   社会部長      上原芳晴    財政課長      五味裕一   衛生部長      畑山善行    教育委員会委員長  宮﨑和順   生活環境部長    中平龍興    教育長       矢島広道   商工部長      木船智二    教育次長      井出祐司   農政部長      高野義文    教育次長      斉藤金司   林務部長      古林弘充    警察本部長     松田広光   土木部長      小川 健    警務部長      大澤裕之   土木部高速道局長  光家康夫    監査委員      丸山 勇   住宅部長      柳澤一則    人事委員会事務局長 笹田久夫         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      湯沢角雄    総務課企画員    佐藤公俊   参事兼議事課長   林 一夫    副参事兼議事課課長補佐兼記録係長   議事課課長補佐   海野忠一              太田 浩   議事課課長補佐兼委員会係長     議事課記録専門員  若井一仁             小林 均         ───────────────────  平成12年3月3日(金曜日)議事日程    午前10時30分開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         ───────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時31分開議 ○議長(中島輝夫 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。         ─────────────────── △諸般の報告 ○議長(中島輝夫 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕         ─────────────────── △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(中島輝夫 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの諸君から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、石坂千穂君。       〔22番石坂千穂君登壇〕 ◆22番(石坂千穂 君)関係各位の御理解をいただきまして一般質問トップのお許しをいただきましたので、日本共産党を代表して知事初め関係部長に質問させていただきます。  まず最初に、県の財政運営について知事にお伺いします。  長野県の公債費負担比率は、97年度決算で21.0%、98年度には21.3%と2年連続で自治省が危険ラインとする20%を突破しました。全国ワーストスリーといわれる状況です。  このような財政危機の中で、2000年度県一般会計予算案は過去最大規模のものとなりましたが、一般会計全体の伸びが2.7%であるのに比べて、土木、農政、林務の公共事業費が前年比3.9%の伸びとなっており、公共投資に4,000億円、社会保障には1,200億円という従来型の公共事業偏重のやり方が繰り返されています。  今、全国で、国の景気対策の名のもとに繰り返しふやした公共事業が、結果として景気をよくするどころか、地方自治体の借金体質を深刻なものにしています。現に、長野県の経済対策予算は、90年代になってウナギ登りにふえています。これがその表で(図表を示す)、この青い線が経済対策予算で、えんじ色がそれによって雇用された人数です。よく見ていただきたいと思います。  ウナギ登りにふえた経済対策予算で公共事業の雇用がどれだけふえたかというのを見てみますと、建設省発行の統計調査によれば、県内建設労働者の延べ就業者数は、92年には約457億円の予算で延べ815万人、95年には92年の約2倍の865億円の予算を投入したのに雇用は92年の約1.2倍の延べ1,002万人、98年にはさらに95年の約2倍の1,509億円の予算を投入したのに就業者数は何と95年の約半分の543万人になってしまいました。  長野県では、90年代に入ってオリンピック関連事業が行われたという特殊事情がありますが、それでも予算がふえたのに雇用が減るという全く説明がつかない事態です。  知事は、今日の県財政の借金体質の根本的な原因が大型公共事業偏重の施策にあったこと、経済対策、景気対策の名による公共事業の積み増しが借金体質をさらに深刻にしていること、また、結果的には雇用もふえず景気対策にならないということを認識しておられるのでしょうか、見解をお伺いします。  今回、県は初めて、向こう5年間の財政見通し、中期財政試算を示しました。しかし、歳入についていえば、「世界一の借金王」などと居直っている小渕首相のもとで、38%もの国債発行で辛うじて予算のつじつまを合わせている地方自治体以上に借金漬けの政府のもとで、地方交付税の増額や安定確保が果たして見込めるのでしょうか、国庫支出金の大幅カットはないのでしょうか、国民の購買力が向上せず、リストララッシュに歯どめのかからない状況のもとで、見込みどおりの経済成長率が確保できるのでしょうか、それらの根拠は極めて不透明といわなければなりません。  また、県債残高は年々ふえ続けて、2000年度末ついに1兆6,300億円、一般会計の1.6倍となろうとしていますが、この借金には一日約1億円にもなろうという利子は含まれておらず、現実の県財政の借金はさらに深刻なものとなっています。  このような中で、既に産業連関表による費用投入効果比較の試算などで、同じ金額の予算を投入した場合、公共土木事業より社会保障の方が雇用効果も経済波及効果もあるという結果が出ていますし、現にそのことを実行している自治体も生まれています。  また、公共工事着工統計の詳細な分析から、工事規模500万円未満の小規模工事の工事費100万円当たりの労働者数は18人なのに対し、工事規模5,000万円以上1億円未満の工事では14.1人、5億円以上の大規模工事では8.3人で、工事の大規模化が公共事業の雇用効果に対し否定的な影響を及ぼしているという指摘もされています。  公共事業費の総額を減らしても、公共事業の中身をゼネコン向けの大型事業から中小企業向けの中小規模に切りかえれば、雇用がふえ、経済波及効果もあるということです。  現在の公共事業費を半分にしても、GDP(国内総生産)比では欧米諸国の2倍から3倍もの公共事業費になります。むだな大型開発をやめ、生活基盤中心に切りかえれば、欧米諸国よりはるかにおくれている下水道や公園、生活道路など必要な社会資本を充実・整備する財源は十分にあります。税金の使い道、県予算の使い方の流れを根本から改めるべきではないでしょうか。  長野市石川の地すべりに続き、昨年10月と11月には飯山市富倉地区で、ことし1月には山ノ内町裏落合で相次いで地すべりが発生しています。  飯山市富倉地区は、もともと砂岩と泥岩が重なった地質構造で地すべりが起こりやすい地盤ですが、今回の地すべりの範囲は、急速に進んだ過疎化、高齢化に拍車をかけた減反による休耕田でした。1960年に240戸、人口1,234人だった富倉地区は、今では99戸、217人、1971年の米の減反政策以前には約78ヘクタールあった水田耕地面積は、30年たった現在、約8ヘクタール、10分の1に減っています。平成11年度の富倉地区の転作目標達成率は116.1%、平成12年度の減反目標面積は62.3%です。今でも耕作を続ける水田には一年じゅう水が張られ、ひび割れを防いで田の機能を保つとともに、粘土質の田の床を乾かさず、地すべりを防止する役割を果たしています。10月に地すべりが発生した箇所は、休耕田で水を張らなくなってから15年ほどたっており、現在では雑草に覆われた荒れ地です。11月に地すべりが発生した箇所は、休耕田となり、水を張らなくなってから二、三年しかたっていません。  また、1月に地すべりが発生した山ノ内町裏落合地すべり発生箇所も、もともとは斜面の水田地帯であったところに20年ほど前に杉を植林した場所といわれ、今から10年ほど前の平成3年の夏にも、神社の下に大きな空洞ができるほどの――今、トンネルになっていますが――砂と泥、大量の水が流出する事故が発生しています。  私は、富倉地区、裏落合地区の現場へ丸山茂県会議員と一緒に調査にお伺いいたしまして、現地の議員や農業委員さん、区長さんや総代さん、住民の皆さんのさまざまな声や御要望をお伺いしてきました。そして、地すべり対策に万全を尽くすとともに、農地が荒廃していく中で起こるべくして起こったこれらの災害を繰り返さないために、また、人々が住み続けられる地域の環境づくりのために、今、農地を農地として守ることの重要性を痛感しています。  まず第1に、もうこれ以上の米の生産調整・減反はやめるべきではないでしょうか。農業を守り、食糧を確保し、国土を保全するためにも、今、そのことが大切になっていると思いますが、いかがでしょうか。  また、富倉地区の問題は全国の中山間地が抱える共通の問題でもあり、ようやく始まった中山間地直接支払い制度が、中山間地の人々が中山間地で農業などで暮らしを立てることができ、生きがいを持って住み続けられるために生かされるよう、実態に見合ったものに改善させる政府への具体的な働きかけが必要になっていると思いますが、農政部長の見解をお伺いします。  WTO体制が5年を過ぎ、昨年12月には、アメリカのシアトルで行われたWTO閣僚会議が、アメリカと多国籍企業の利益押しつけに対し、途上国とNGOによる反発で何も決まらずに決裂しました。  先日、東京の早稲田大学国際会議場でWTOに関する国際シンポジウムが開かれ、イタリア、韓国、日本、アメリカの農業、林業、環境問題の第一線に立つ5人のパネリストの報告と活発な討論が行われました。私も参加させていただきましたが、WTO体制が世界各地の人々に大きな被害をもたらしている実態、WTO協定の改定を目指す世界各国の運動の広がりと展望を受けとめることができました。  日本の食糧自給率はカロリーベースで約40%、165カ国中118番目というのに、水田は4割もの減反を強いられています。WTO農業協定によって米は毎年輸入されており、それが減反を大きくする原因です。これほど主権無視があるでしょうか。その上、あらゆる農畜産物が輸入自由化され、価格は下がるばかりです。価格保証はWTO協定の禁止事項となっています。これでは、農業をやりたくてもできません。このままでは、近い将来、日本の農業は壊滅的です。  WTOに対し、各国の食糧主権を認めること、輸出国本位で農薬会社や多国籍企業のための衛生植物検疫協定の改定、21世紀の世界の食糧問題を重視し、生産を刺激する政策を禁止する農業協定は根本的に改定するべきではないでしょうか。農業県長野県からその働きかけを大いに強めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  「整備新幹線建設に当たっては、並行在来線をJRから経営分離する」という1989年の政府・与党の申し合わせに基づいて切り捨てられた第1号が、長野新幹線開業に伴ってJRから経営分離された信越本線です。  バスに転換した横川―軽井沢間は、急峻でカーブが多い交通難所の碓氷峠があり、所要時間は鉄道の3倍、運賃は2倍となりました。  第三セクター鉄道となった軽井沢―篠ノ井間のしなの鉄道は開業して2年を経過しましたが、運輸省が審査した収支見通しでは98年度の赤字額約6億円の見込みに対し、実際は倍近い10億5,000万円の赤字で、全国の第三セクター鉄道39社の中でも赤字は飛び抜けています。経営悪化の原因の一つは、開業時に線路などの施設をJRから有償で譲渡されたことです。  また、影響を受けるのは経営分離区間だけではなく、隣接するJR横川―高崎間では90本あった電車の本数が半分となり、特急列車はすべてなくなるなど、全国一本の交通ネットワークがずたずたに分断され始めているのが実態です。  整備新幹線の建設に当たっては、国鉄時代にはなかった建設費の地方自治体負担があり、それに加えての並行在来線の経営分離は、地元自治体の財政負担が増し、さまざまな困難を押しつけるものです。このような条件をのんだまま長野以北の新幹線建設を進めることは、沿線住民に新たな犠牲を押しつけるものであり、安易に認めるわけにはいきません。  長野以北の信越線存続のため、どのような方針をお持ちでしょうか。  また、既に経営分離予定となっている糸魚川―魚津間とあわせ、JR西日本は大糸線の南小谷―糸魚川間(35.3キロ)の経営分離の方針を発表していますが、住民の足を守るため、県として存続についてどのような努力をされるお考えか、お伺いします。  また、地元の要望、機運が高まっている横川―軽井沢間の鉄路復活の願い、取り組みに、県としても積極的な支援を行うべきではないでしょうか。  次に、木曽郡大桑村に中部電力が計画している木曽中央水力発電所計画についてお伺いします。  この計画は、木曽川水系の大桑村阿寺川に下部ダム、隣接する王滝村に上部ダムをつくり、その中間に地下発電所を設け、ためた水を繰り返し使用して発電する揚水発電所で、最大出力は180万キロワット、原子力発電所の夜間の余熱利用を前提としており、2002年10月の着工を目指しています。  この発電所の計画地である阿寺渓谷は、「流れる宝石」といわれる透明度の高いエメラルドグリーンの清流に魅せられて年間6万人の人々が訪れ、長野の自然100選や木曽三川36景にも選ばれ、親しまれてきたところです。私も1997年6月議会で質問するに当たり現地に伺いましたが、川底に泳ぐ魚や小石まで肉眼ではっきり見えるその息をのむような美しさに、長野県にこんなに豊かで美しい自然が残っていることを本当にうれしく、誇りに思ったところです。  地元大桑村では1994年10月に「阿寺渓谷を愛する会」が、また、昨年9月には愛知県を中心に「阿寺渓谷を愛する下流市民の会」がそれぞれ結成され、美しい自然を守ってほしい、水を汚さないでと運動を進め、先日、「下流市民の会」は1万8,000名を超える要請署名を知事に提出しました。知事は、「環境への負荷を軽減してという意見をつけて同意した」とされていますが、4,000億円もかけて建設する巨大ダムの建設で、果たしてこの貴重な自然を守ることができるのでしょうか。  中部電力は、知事の同意の前提条件ともなっている長野県環境影響評価技術委員会の指摘にこたえての環境保全対策委員会を設置して、誠実な検討を始めたのでしょうか。  また、この発電所は原発の夜間余剰電力の利用抜きには存在しない発電所で、つくる電気の1.4倍の電気を使うという発電所です。  昨年の茨城県東海村の臨界事故などをきっかけに、原発や原子力の安全神話は崩壊し、原子力推進を中核に据える日本のエネルギー政策は大きな見直しを迫られています。つい 10日ほど前、中部電力は三重県知事の白紙撤回の表明を受け芦浜原発の建設断念を表明しましたが、欧米諸国の多くは既に原発の新規建設をやめ、風力発電などへの転換を進める動きが広がり、世界の流れは脱原発が主流となっています。  この計画推進で貴重な自然が破壊される懸念と、原子力行政の曲がり角の情勢のもとで、計画に同意の知事の意見書を見直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  これは名古屋市水道局の広報誌です(冊子を示す)。この表紙は阿寺渓谷です。中を開きますと、水道水の水質検査の結果が書かれておりまして、その隣に「なごやの水がおいしいのは、水源である木曽川の水質に恵まれていることが、その大きな理由です」と書かれています。長野県の美しい自然は、長野県民だけのものではなく、下流住民の財産でもあることを痛感します。  阿寺渓谷を県自然環境保全地域に指定して、積極的に保全を図るべきではないでしょうか。
     県廃棄物処理事業団の処分場計画について生活環境部長にお伺いします。  現在、下伊那郡阿智村と豊科町での計画が進行中ですが、この処分場での受け入れ対象廃棄物は、一般廃棄物としての市町村の焼却灰、ばいじん、産業廃棄物としての木くず、廃プラスチック類、下水道汚泥、医療系廃棄物、燃え殻、鉱滓等であり、そのうち無機性汚泥と鉱滓は直接埋め立て、その他は直接溶融後埋め立てとされています。  私たちの生活が便利で豊かになった反面、廃棄物の量は年々ふえ続け、減量やリサイクルを進めても廃棄物を最終的に完全になくすことは不可能であり、廃棄物を適正に処理する最小限の施設は必要です。  しかし、国や全国の地方自治体を初め多くの関係者の努力と試行錯誤を経て、この間、この分野での目覚ましい発展があります。容器包装リサイクル法の施行、ダイオキシン規制の強化、いわゆる野焼きの禁止などの法的整備が分別収集の徹底などの住民の協力を得て大きく進み、今国会には、事業者に廃棄物回収責任を求める循環型社会基本法案や、発注者に再資源化を義務づける建設工事特定資材再資源化法案、いわゆる建設リサイクル法案がそれぞれ提出されると報道されています。  1997年4月から容器包装リサイクル法が施行され、ペットボトルなどが対象になりました。しかし、ここで大きな矛盾が発生しました。この法律はごみを減らすことがもともとの目的だったはずなのに、ペットボトルの生産量は8万トンもふえたのです。その一方でリサイクル量は4万トン、差し引き4万トンもごみの量がふえるという、法の目的とは全く逆の事態を招いたのです。  なぜなら、この法律では、幾ら使い捨てのペット容器をつくっても、使っても、自治体の負担が重くなるだけで、むしろ企業は大量生産でコストが下がり、もうかるからです。その結果、ペットボトルがはんらんし、リサイクル可能なメーカーの経済的負担の重い瓶が減ってしまったのです。  現行の容器包装リサイクル法では、収集運搬などの自治体の負担が重過ぎるので、これをメーカーなど企業に負わせること、また、事業者の再商品化の引き受け量の枠があって、自治体が幾らたくさん分別収集しても資源化されないという問題があるので、全量を引き取らせること、デポジットの制度化などの法改正を求めていくことが必要になっています。  このような容器包装リサイクル法などの経験を経て、この間の新しい情勢の発展の中で廃棄物の処理を考えたとき、一般廃棄物の焼却灰や下水道汚泥など明らかに行政の責任で処理しなければならないものと産業廃棄物の処理は、切り離して考えるべきではないでしょうか。  市町村の一般廃棄物は、分別収集を徹底し、生ごみを堆肥化などのリサイクル・有効利用に回すことによって、焼却に回すごみを大きく減らすことができます。県下水道課のまとめによれば、汚泥の埋め立て場所の確保が難しくなっている中で、県内の公共下水道から出る汚泥のリサイクル利用率は年々増加して、98年度は約44%になったと報告されており、20年後をめどに全量リサイクルにという方針とお聞きしていますが、これをもっと早めることも可能かもしれません。  また、これら一般廃棄物や下水道汚泥を除いた産業廃棄物の処分場は、あくまで企業責任を明確にして、税金を使っての処分場建設はやめ、県は、この間も努力されている監視員や指導員の大幅な増員、適正処理のための指導、アドバイスに徹することが、本来の公的関与の責任あるあり方ではないでしょうか。  大規模な処分場の建設は、時として、その処分場を稼働させるために、せっかく分別したプラスチックを一緒に焼却に回したり、大量のごみ確保のために減量にストップをかけるなどの矛盾も生んでいます。  県下4カ所に広域から運び込むという産廃処分場計画、一般廃棄物や下水道汚泥と産業廃棄物を一緒に処理するという方式、とりわけ税金を使っての産廃処分場建設は適当であるのかなど、情勢の新しい発展の中で計画全体の再検討が必要と思われますが、生活環境部長の見解をお伺いします。  また、現在進められている阿智村、豊科町の処分場計画につきましては、それぞれの自治体の到達点や住民合意をかち取る準備の過程が違いますので、一律には論じられませんが、あくまで住民合意を基本に、住民のさまざまな不安や疑問に誠実にこたえ、町村長の合意や議会決議などをお墨つきにしての見切り発車は行わないようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。  最後に、浅川ダム建設についてお伺いします。  浅川ダム計画の安全性を論議してきた浅川ダム地すべり等技術検討委員会は、今定例会開会日前日の22日、川上委員長が、委員全員の意見が一致しないまま、多数意見として「ダム予定地周辺の断層や地すべり面はダム建設に支障がない」との意見書を提出して幕を引きました。  私は、7回にわたって開かれ公開されたこの委員会の論議を1回を除いて毎回傍聴させていただきましたが、感想として、学者や専門家の良心ということ、また、公共事業などを進めていく上での民主主義という問題で多くのことを考えさせられました。  この委員会の設置は、県がないと主張していた深い位置での地すべり面が住民団体の指摘により再調査の結果発見されたことがきっかけでした。ダム建設の安全性に根拠と信頼性を持たせるための委員会だったはずです。ところが、幾つかの不安材料を解明するために調査が必要であるという主張に対し、極端な委員は「これ以上の新たな調査は税金のむだ遣いだ、必要ない」と退けました。驚くべきことですが、これに多数の委員が同調しました。信州大学の小坂教授が指摘したダム本体右岸の溝状地形と断層との関連性、可能性についても、「人の歩いた跡だ」「水の流れた跡だ」という主張を、何の根拠もなく、調査も行わず、経験上言えることと結論づけてしまいました。この件に関して昨年末に急遽行った現地調査も、残念ながら極めてずさんなものといわなければなりません。  地震時の安定性についても、阪神大震災でもダムは壊れなかったから大丈夫と検討されませんでしたが、その後の台湾やトルコの地震による被害の状況から、「断層だらけの日本では、地震時のダムや橋、道路などの構造物への影響の検討は無視できない課題となった」として、ことしになって日本土木学会は小委員会をつくって検討を始めています。  川上委員長は、記者会見で「一人の委員でも調査の継続を求めれば引き続いて会合を開く」と明言していたにもかかわらず、ついに委員会を開かないままの幕引き、これではかえって不信は募るばかりです。  委員の意見が分かれたままの委員長の取りまとめとなった以上、県民に納得のいく安全性の根拠を示すために、必要最小限の調査を県の責任で行うべきではないでしょうか。  手続上は、技術検討委員会の結論を受け、次の焦点は県公共事業評価監視委員会の対応に移ります。県は、技術検討委員会の意見書は報告するが、必要性論議は決着済みとお考えのようですが、昨年度、事業の継続を認めた後に深い地すべり面の対策のために事業費が330億円から400億円に膨れ上がった経過や、河川改修とその他の対策で洪水は防げるという専門家の指摘も十分な検討がされたとはいえません。県民が納得できる必要性の検討を責任を持って行うべきではないでしょうか。  何が何でも浅川ダム建設をとも受け取れる状況の中で、県民の中からは「もう本体工事受注業者も決まっていて、やめられないのではないか」という声もあり、それは、ある大手ゼネコンとささやかれています。そんなことはあり得ないと信じたい思いですが、そうではないと確認してよろしいでしょうか、土木部長の明快な御答弁をお願いします。  徳島県の吉野川可動堰問題に典型的にあらわれたように、日本の治水事業は今、転換期を迎えています。また、愛知万博が計画見直しを余儀なくされているように、公共事業のあり方そのものが根本から問い直されているときでもあります。一度引いたレールは走り続けるしかないというかたくなな姿勢はやめて、勇気ある見直し、決断を心から期待いたしまして、私の第1回の質問を終わります。       〔知事吉村午良君登壇〕 ◎知事(吉村午良 君)県の財政運営につきましての御質問でございますが、順次お答えを申し上げます。  最初に、景気対策による公共事業の積み増しが借金体質を深刻化しているのではないかと、こういう御指摘でございます。  立派な図面をつくられたようですが、私の方に見せないで、ただそっちに見せるというのはちょっと変な話で、質問者の方に見せるのがベターじゃないかと思いますので、また後ほどゆっくり見せていただきたいと思います。  さて、景気の長期低迷、これにつきましては昨日も申し上げましたが、今回の景気低迷はいろいろな要件が複雑に絡み合っております。長期的な波動、短期的な景気循環、そしてまたグローバル化など、世界の発展段階におきますさまざまな問題が固まって出てまいりまして、日本だけではなくて世界じゅうに不安を巻き起こしているというのが、この経済不況の原因でございます。したがって、これを解決するには非常に大きな問題があり、これをやればいいという方法はなかなか見えにくいということでございます。  しかし、政府におきましても、公共事業の促進、また公共事業だけではなくて、減税あるいは規制緩和などさまざまな対策を行いまして景気対策をやっておりまして、ようやく明るさがこの秋には見えようとしているわけでございます。  県におきましては、政府の経済対策に呼応いたしまして、各種の公共事業等をやってまいりました。しばしば申し上げておりますように、県としては、起債を使う場合にもさまざまな有利な起債を使っておりまして、これらの起債の残高は83.9%が交付税で措置されるというふうになっておりまして、そのことが直接県財政に与える影響は極めて少ない、特に全体を通じて五十数%が交付税で措置されるということでございますから、確かに借金は多いんですけれども、県財政に深刻な影響を与えるものではないというふうに思います。  しかし、起債がふえることはベターではございませんので、先般、試算をいたしまして、平成16年度には、現在の基金を取り崩すことなく、県としては有効な運営ができるということを申し上げましたので、この点から申しましても経済対策による公共事業の実施が県財政に深刻な影響は与えてないと、このように思っております。  また、公共事業では雇用がふえないのではないかということでございますが、確かに統計等によりますと、この10年間、公共投資によります人員の数は減っております。減っている原因はいろいろございますけれども、機械化が進んでおりますし、新技術が開発されております。例えば一例を申しますと、トンネルを掘るには、今、新しいNATM工法というのができまして、一日に6メートルもできますが、かつては一日に1メートルぐらいしかできない、したがって人員も10倍ぐらい必要だったものが、機械化、技術の進展によりまして減ってくる。大型事業等がそういうような新技術の開発がございましたので、総体的には数としては減っておりますけれども、そのことが大きな問題だとは思いません。  特に、比較されまして、民間の社会事業関係の人員の方がいいんじゃないかというようなお話もございましたけれども、社会事業関係の方は人件費の占めるウエートは6割を超えますが、公共事業等は3割を超えるということでございますから、必然的にその仕組みが違いますので、その結果だけを見て公共事業がいいとか社会福祉関係に使えばいいとか、そういう結論を安易に出すのはどうかというふうに思います。これは、数年前に宇留賀議員さんからもお話がございまして、そういうことを申し上げたことがございますので、共産党におかれましても十分その辺を勉強されまして御質問願いたいと、このように思います。  また、新規求人の状況ですけれども、経済対策が行われた年度におきまして建設事業者全体は大変ふえておりますので、その点は時々によって違いますけれども、現在は公共事業が余り多くないので少ないわけでございますが、公共事業はやればやるほど人はふえるというのが数字の上であらわれていることを御承知願いたいと、このように思っております。  次に、こういった状況の中で、県の予算のあり方を根本的に改めたらどうかということでございます。  確かに、今、世の中、非常に変わってきております。特に、少子・高齢化、福祉あるいは環境問題などさまざまな問題を抱えておりますので、そういった県民のニーズに的確にこたえることが必要であるというふうに思っておりますので、そういった点につきましては、これからも誠心誠意、県民の皆さんの御要望にこたえるようにしていきたいと、このように思っております。  中でも、公共事業というのは大きなウエートを占めます。公共事業につきましては、大小の建設業者がございますが、長野県におきましては中小の建設業者に総額の94.2%を発注しておりまして、そういった中小企業をも大事にしながら県勢の発展を図っておるわけでございますから、全体的に見て、そういった長野県の県政運営につきまして一層の御支援と、また、いろいろな面からの御検討をお願いいたしまして、お答えといたします。       〔農政部長高野義文君登壇〕 ◎農政部長(高野義文 君)順次お答えいたします。  地すべり被害に歯どめをかけるため、これ以上の減反はやめるべきではとのお尋ねでございますけれども、新しい基本法のもとで新たな水田農業対策が平成12年度からスタートすることとなりますが、需要に応じた米の計画生産と米価の安定のためには、今までと同様、農業者の理解と協力を得て、生産者団体、行政、関係機関が一体となって、生産調整の確実な達成に向けて取り組んでいかなければなりません。  お話のような地すべり等特殊な事情のある水田については、農業者や地域の関係者で十分話し合いをいただき、その実態に応じて作付調整が図られていくことが必要でありますが、状況によりましては地域間での調整の方法も可能であります。  なお、お話のありました飯山市富倉で発生している地すべりは本年度から、山ノ内町裏落合で発生している地すべりは平成12年度から、建設省所管の補助事業で対策を講じてまいることとなっております。  2点目の中山間地域直接支払い制度を直接所得補償で生活ができるよう改善することへの働きかけについてのお尋ねでございますが、この制度は、中山間地域での耕作放棄の発生を防止し、多面的機能を維持することを目的として実施するものでありますが、この制度の導入に当たり、国では、学識経験者や自治体代表から成る中山間地域等直接支払制度検討会を設置し、WTO農業協定上、緑の政策に位置づけるとともに、広く国民の理解を得て実施する必要があるとの観点から、昨年1月の発足以降、全国各地への現地調査や各層各界からの意見聴取など、慎重な審議を重ねて最終取りまとめが出されました。  このような経過を踏まえ、対象地域、対象農地、対象者、対象行為など客観的な基準のもとで、生産条件の不利を補正する直接支払いとして実施していくものでございます。  したがいまして、県といたしましては、まず、この制度の円滑な導入を図ることが重要であると考えております。  なお、国では、実施状況等を踏まえ、3年後に必要な見直しを行うとしていること、また、5年後には、政策評価の上、制度全体の見直しを行うこととしておりますので、今後、改善点があれば国へ要望をしてまいります。  3点目の、WTOに対して、各国の食糧主権を認めること、衛生植物検疫協定の改定、農業協定の根本的改定を県から国へ働きかけるべきとのお尋ねでございますが、次期農業交渉は21世紀の世界の農産物貿易ルールの方向が決定される極めて重要な交渉と認識しており、農産物貿易における助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減する改革過程の継続と位置づけられている現行WTO協定の枠組みを基本的に維持しつつ、交渉に当たって考慮することになっております非貿易的関心事項の一つとしての多面的機能が交渉の中で理解され、一定の国内支持、関税措置が正当な行為として認められ、各国の農業が共存できる国際規律となるよう引き続き強く要請してまいることが、より現実的であると考えております。  また、衛生植物検疫協定は検疫を行う場合の国際的な基準を定めたものであり、侵入した場合に国内生産に大きな影響を与えるおそれのある国内未発生の病害虫が寄生する植物は輸入禁止措置が講じられております。  今後も、新たな病害虫の侵入を防ぐため、検疫技術の向上や輸入検疫体制の整備に万全を期すよう引き続き国へ要請してまいる所存でございます。  以上でございます。       〔企画局長青木輝政君登壇〕 ◎企画局長(青木輝政 君)お答えいたします。  初めに、長野以北の並行在来線に関するお尋ねでございます。  並行在来線の経営分離につきましては、整備新幹線の基本スキームに関する政府・与党申し合わせにより、建設着工する際の基本条件の一つとなっているものでございます。  北陸新幹線長野―上越間の着工に当たりましても、信越本線長野―直江津間につきまして、JR東日本からの経営分離が着工の条件でありました。本県といたしましては、北陸新幹線が国土の均衡ある発展に不可欠な国家プロジェクトであり、県内の高速交通網の整備にとりましても大きなステップとなることから、長野―上越間の優先着工と、それに伴います並行在来線の経営分離についての地元の合意形成に向け鋭意取り組みを図り、平成10年3月、長野―上越間の着工に至ったものでございます。  とりわけ、長野以北の並行在来線につきましては、沿線住民の重要な生活路線であることから、沿線5市町村と十分協議を重ね、県が責任を持って存続を図ることを基本方針として地元にお示しをし、経営分離に同意をいただいたわけでございます。  県といたしましては、この基本方針に沿って、今後とも沿線市町村及び新潟県と十分連携をとりながら存続に向け鋭意取り組むとともに、分離後の健全な経営の確保を図るため、国に対して支援策の拡充を要望してまいりたいと考えております。  次に、大糸線に関するお尋ねでございます。  大糸線南小谷―糸魚川間を初め北陸本線に接続している七つの路線、例えば高山本線とか七尾線などでありますが、この七つの路線につきまして、経営主体でありますJR西日本から北陸新幹線の整備にあわせて経営分離したい旨表明されたと過日報道されているところでございます。この件につきましては、本県としてJR西日本から正式に提示を受けておりませんが、県内の在来線にかかわることであり、重要な問題と受けとめているところでございます。  今回問題となっておりますいわゆる七つの支線につきましては、北陸新幹線の上越以西の整備に伴って経営分離が予想される北陸本線と一体的に運行されているとの理由から、JR西日本では、これらの区間についても北陸本線同様経営分離したいと考えているようであります。  これに対しまして、北陸新幹線の上越以西の整備に直接関係しております新潟、富山、石川、福井の各県では、これらのいわゆる支線は整備新幹線の基本スキームにおける並行在来線には当たらず、この問題は北陸新幹線の整備とは切り離して扱うべきとした上で、それぞれの路線についてJR西日本が継続して経営するよう求めていきたいとしているところでございます。  大糸線につきましては、沿線住民の日常生活と観光などの経済面にとって大変重要な路線であるとともに、平成7年の梅雨前線豪雨災害で寸断された鉄路を新潟県等と力を合わせて復旧したという経緯もございます。  これらを踏まえ、県といたしましては、大糸線に関係する新潟県を初め北陸各県及び関係市町村と歩調を合わせ、JR西日本に対しまして大糸線の継続経営を強く働きかけてまいりたいと考えております。  次に、横川―軽井沢間の鉄路復活に関するお尋ねでございます。  横川―軽井沢間につきましては、平成元年の政府・与党申し合わせにより、適切な代替交通機関を検討し、その導入を図った上で北陸新幹線の開業時に廃止することとされたものでございます。この申し合わせを受け、運輸省、JR東日本、群馬県、長野県の四者で鉄路存続の方途も探りながら鋭意検討を続けてまいりましたが、この区間の乗車人員が極めて少ないことなどから多額の赤字が予想され、やむなく鉄路の存続を断念したものでございます。  鉄路復活とのお尋ねでございますが、当該区間のような急勾配が連続する区間について、安全性を確保しながら安定的に鉄道輸送を行うためには、相当多額な経費を要することが予想されるとともに、代替交通機関として導入いたしましたバス輸送も定着してきていることから、鉄路を復活し、これに対して県として支援を行っていくことは考えておりません。  以上です。       〔生活環境部長中平龍興君登壇〕 ◎生活環境部長(中平龍興 君)順次お答えいたします。  木曽中央水力発電所計画につきましては、事業者の中部電力から平成9年7月に環境影響評価準備書が提出され、県では、この準備書について、住民、関係村長及び環境影響評価技術委員会から意見を聞きまして、平成10年7月に知事の意見書として送付したわけであります。  この知事意見におきましては、環境保全対策の実効性を確保するための組織の設置について、公正さや公開性の確保などの信頼性を高める見地から、委員構成、設置期間、運営方法等について具体的に示すよう求めたところであります。  この知事意見を受けて、平成11年4月に事業者から環境影響評価書の提出がありまして、組織については、関係機関及び関係者と調整の上、環境保全対策検討委員会というものを設置することとされました。委員会は、環境保全対策の実効性の確保を目的としまして、学識経験者、関係村、住民代表等で構成する組織とされ、審議内容も公開することとされておるわけであります。  委員会の設置の時期につきましては、評価書公告後本工事着工までの必要な時期とされておりまして、現時点ではまだ組織されたとは聞いておりませんが、今後とも環境影響評価書の記載内容に沿った適切な実施が図られるよう指導してまいりたいと、このように考えております。  次に、県の自然環境保全地域へ指定したらどうかといったお尋ねでありますが、県の自然環境保全地域は、高山性植生やすぐれた天然林が相当部分を占める区域などで、その周辺の自然的・社会的諸条件から見て自然環境を保全することが特に必要な地域、こういった地域を自然環境保全条例に基づいて指定することができるとされておるわけでございまして、これまでに、貴重な湿原植物が豊富な白馬村の姫川源流など6地域を指定しておるわけでございます。  御質問の大桑村の阿寺渓谷は、急峻な渓谷が広がり、すぐれた景観を形成するなど、良好な自然環境を有する地域であります。しかしながら、その一帯はほとんどが国有林でございまして、国有林の適切かつ効率的な管理経営を目的とします国有林野の管理経営に関する法律に基づきました地域管理経営計画というものが定められておるわけであります。この計画は、国有林野の管理経営に当たりまして、森林の公益的機能の維持増進や木材などの持続的な供給による地域産業の振興、こういったものを目標にしておるわけでございまして、国土保全、水源涵養、自然維持、森林空間利用、資源の循環利用など、森林のタイプ別に多様な機能の発揮を目指すものであります。  阿寺渓谷一帯は、この計画により適切に管理経営が行われている地域でございまして、このような多様な機能の発揮を目標とする計画のもとに管理されている地域を県の自然環境保全地域に指定することは困難であると、このように考えております。  ただ、阿寺渓谷はすぐれた自然環境を有する地域でございますので、県の指導要綱に基づく環境影響評価の成果も踏まえまして、中部森林管理局とも連携を図りながら適切に保全されるよう努めてまいりたいと、このように考えております。  次に、廃棄物処理事業団の処分場計画についてであります。  行政責任で処理しなければならない廃棄物と産業廃棄物の処理は切り離すべきだといったお尋ねでありますが、廃棄物処理事業団は、御案内のとおり、平成5年に、事業者責任の原則を維持しながら、安全性と信頼性が確保できるモデル的な廃棄物処理施設を設置運営するために、県と市町村、そして民間からも50%の出資をいただいて設立した法人、第三セクターでございます。  このため、当初から産業廃棄物や市町村の焼却灰などの一般廃棄物を広域的かつ効果的に処理することを目的として事業を進めておるわけでございまして、運営に当たっては、一般廃棄物、産業廃棄物のそれぞれの排出者責任というものを基本に据えまして運営してまいりますので、切り離す必要はないと、このように考えております。  次に、企業責任を原則にして、税金を使っての処分場建設はやめ、監視員や指導員での指導あるいはアドバイスに徹することが公的関与のあり方ではないか、また、情勢の新しい発展の中で計画全体の再検討が必要ではないかというお尋ねでありますが、産業廃棄物につきましては排出事業者処理責任が原則でありますことから、事業者における廃棄物の減量化、リサイクル、適正処理の推進、こういったことを図るとともに、監視員や指導員による監視指導体制の充実強化、あるいは不法投棄や不適正処理の防止、こういったきめ細かな監視指導を行い、廃棄物処理に対する県民の信頼というものを回復していかなければならないと思っているわけであります。  しかしながら、一方で、民間による廃棄物処理施設の設置が極めて困難な状況となっておりまして、最終処分場の残余容量が逼迫しておりますことから、公共関与による安全で信頼性の高い廃棄物処理施設を早急に整備することが強く求められているところでございます。  このため、現在、事業団において施設整備を進めておるわけでありますが、最高水準の安全対策、万全の受け入れ管理、住民参加と情報公開など、全国のモデルとなる先駆的な施設の設置運営を行うということにしておりますし、さらに、学習研修施設等を設置して廃棄物に関する普及啓発を行い、廃棄物処理の先導的役割を果たしてまいりたいと、このように考えております。  また、県内で排出される廃棄物は県内で処理するという自区内処理を基本に、本県は南北に長く面積も広いという状況にありますので、県内4カ所への整備を進めてまいりたいと、このように考えております。  それから、税金を使っての施設建設というお話でありますけれども、事業団の施設は、借入金を主な建設財源とし、運営に当たりましては独立採算を基本としてまいりますので、国庫補助や無利子融資などできる限り有利な財源の確保を図っていきたい、そして安全で信頼性の高い施設に見合う適正な処理料金を徴しまして、広く住民や排出事業者の理解を得ながら経営の安定に努めてまいりたいと、このように考えております。  いずれにいたしましても、新たな処理技術とかリサイクルの進展など、廃棄物を取り巻く状況の変化があるわけでございますから、的確に判断し見据えていきながら、県、事業団一体となって全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。  最後に、処分場計画はあくまで住民合意を基本にすべきではないかというお尋ねでありますが、事業団では、情報公開と住民参加というものを基本理念に、構想の段階から住民の皆さんや地元の町村などの御意見を聞きながら計画づくりを進めてまいったところでございます。  また、講演会や先進地視察などにより施設の必要性や安全性について御理解をいただくとともに、環境影響評価書などの説明会をきめ細かく開催いたしまして、事業団の計画について理解を深めていただいておるわけであります。阿智村、豊科町での説明会等を合わせますと、これまでにおおむね300回以上実施してきたところでございます。  施設建設には住民の皆さんの御理解をいただくことが不可欠でございますので、今後とも、あらゆる機会を通じまして施設の必要性、安全性について十分説明を行いますとともに、住民の皆さんの御意見や御要望を十分に酌み取りまして事業を進めてまいりたいと、このように考えております。お話のような議会議決などによる見切り発車というようなことは全く考えておりませんので、よろしくお願いします。       〔土木部長小川健君登壇〕 ◎土木部長(小川健 君)順次お答えいたします。  まず、木曽中央水力発電所計画につきましては、平成10年6月に電源開発基本計画に国が新規に組み入れることについて意見を求められました。このため県といたしましては、発電所の建設予定地の大桑村、王滝村両村長に対して基本計画への組み入れについての意見を聞いた上で、県といたしまして総合的に判断して、同年7月に経済企画庁に対して異議がない旨の回答をしたところでございます。  なお、この回答の中で、国に対しまして環境への負荷をできるだけ低減するよう事業者への指導を要請しております。  この発電所計画につきましては、平成9年12月に大桑村、王滝村及び木曽川漁協が中部電力に対して同意しており、また、平成10年7月に開催された電源開発調整審議会の議を経て電源開発基本計画への組み入れが決定された経過もあり、県といたしましては同意を見直す考えはございませんので、御理解願います。  次に、浅川ダムについてでございますが、浅川は古くから幾度となくはんらんを繰り返しており、抜本的な治水対策が強く望まれておりました。このため、県は河川改修のみの計画を地元に提示しましたが、川幅が大幅に広がり、用地や家屋がつぶれることから住民の合意が得られず、昭和52年からダム建設を取り入れた改修計画に変更し、沿川住民の合意を得て進めてきております。現在、ダム建設に必要な用地取得やつけかえ道路が完成し、下流の河川改修も既に80%が完了しております。  一方、ダムの安全性を心配されている方々もおられたため、県では浅川ダム地すべり等技術検討委員会を設けました。この委員会は、県内外の地すべりや地質などの学識経験者 10名に委員をお願いいたしまして、昨年7月に発足して以来、現地調査を含め7回にわたり委員会を公開で開催し、県が実施した調査結果を踏まえまして、浅川ダムにおける貯水池周辺地すべりや第四紀断層などに関する検討を行っていただいたところでございます。  この委員会では、委員以外の方からの意見や要望についても慎重かつ熱心に検討を行っていただき、その結果、この2月22日に意見書が提出されたところでございます。  その内容ですが、「県が計画している地すべり対策は概ね妥当であり、ダム建設に支障となる第四紀断層は存在しない」、また、「ダムサイト下流右岸の山頂緩斜面付近に見られる溝状凹地及びスポット的凹地は、ダム建設に影響を及ぼすものではない」となっており、県の調査の妥当性やダム計画の安全性が認められたものと考えております。  調査を県の責任で行うべきではないかとのお尋ねでございますが、委員会の意見書は、審議の継続を主張された委員の意見についても専門家の委員の皆様が十分時間をかけて討論した上で出していただいた、委員会としての結論と認識しております。  また、県ではダム建設に必要な調査は十分実施しており、委員会の中でも、「斜面の安定性に関する評価は、これまでの調査データ及び本委員会における現地調査によって十分に可能であり、技術的・工学的検討を行った結果、結論を得たものである」との意見をいただいているところでございます。
     次に、長野県公共事業評価監視委員会で必要性の検討を責任を持って行うべきではないかとのお尋ねでございますが、浅川ダムは、平成10年度の監視委員会で事業継続との意見をいただきました。また、「事業を進めるに当たっては、地すべり対策等安全対策について十分配慮し、事業の促進を図られたい。また、地域住民に対しては引き続き十分な説明をされたい」との附帯意見をいただいております。  そこで、今年度の監視委員会に、地元説明会の状況、貯水池右岸の深い地すべり、事業費の増加などを説明するとともに、浅川ダム地すべり等技術検討委員会の設立について報告したところでございまして、委員会の検討結果につきましては監視委員会に報告することとなっておりますので、意見書の内容を報告し、詳細に説明してまいります。  また、今後は、地域住民の皆さんに説明するとともに、インターネット等により広く情報を提供しながら、所定の手続を進めてまいりたいと考えております。  次に、本体工事受注業者についてのお尋ねでございますが、浅川ダム本体工事は、その規模からして一般競争入札により受注業者が決まるものであります。したがいまして、あらかじめ業者が決まっているというようなことはあり得ないことと考えております。  いずれにいたしましても、下流の河川改修もあわせ、浅川の総合的な治水対策が早期に完成するよう努めてまいりたいと考えております。  以上です。       〔22番石坂千穂君登壇〕 ◆22番(石坂千穂 君)企画局長並びに生活環境部長に再度御質問申し上げたいと思います。  北陸新幹線建設に伴う在来線の経営分離の問題について、大糸線の方につきましては北陸各県と足並みをそろえて引き続きJRの継続をということで働きかけていただけるということですので、それは納得いたしましたけれども、経営分離を既にされたしなの鉄道部分、それよりももっと乗客数が少ない長野以北の信越線が分離された場合の犠牲ははかり知れないものです。県が経営分離の合意の先頭に立つのではなくて、引き続き存続をと、その働きかけの先頭に立たないでどうするのだろうということを申し上げたいわけですが、先ほど申し上げましたように、既にしなの鉄道についても予想以上の大きな赤字で、これは結局、地方自治体、県民が負わなければならない犠牲です。引き続きこれ以上の犠牲、赤字を負って経営分離を認めていくのか、そして、横川―軽井沢間の復活につきましても非常につれない御答弁と私は受けとめましたけれども、お金をすぐに出すか出さないかということではなくて、復活をしてほしいという住民の声にこたえる気持ちがあって当然と思いますが、その姿勢さえないのか、その点について再度お伺いしたいと思います。  生活環境部長には、阿寺渓谷の問題で、この地域は国有林法に基づいて管理されている地域であって、県の自然環境保全地域に指定するのは大変困難という御答弁でしたけれども、既に自然環境保全地域に指定されている6地域、その中で栄村の鳥甲山とか南木曽町の南木曽岳などは国有林に関係する地域が指定されているわけです。下流地域の皆さんの貴重な水源にもなっている、そして豊かな自然を残さなければならないこういう地域を、ぜひ国とも連絡をとり合ってというか、積極的に働きかけて自然環境保全地域として指定するのが長野県の責任であると思いますけれども、国有林であることを理由にしないで、その積極的な立場に立って頑張っていただけるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。  最後に、お答えは結構ですが、知事並びに土木部長に申し上げたいと思います。  この間、信濃毎日新聞などにも、県政改革の方向ということで各界の皆さんの本当に鋭い的確な御意見が載りました。例えば、八十二銀行頭取の茅野さんは、「もう『箱物』など、環境に負荷を与える土木事業を積極的に推進する時代ではない。五輪から2年たったが、残念ながらこの間も旧来型の事業を重視し、新しいビジョンは打ち出されていない。長野県は全国の先頭に立って、利益誘導政治をやめる姿勢を示してほしい」、このように指摘されております。また、小布施堂社長の市村さんは、「従来の路線に乗った仕事は手堅くこなすが、逆に柔軟性に欠ける。ダム建設といった公共事業への疑問や、大学誘致を求める声などが挙がった際、すぐに県民を巻き込んで論議しようという姿勢が見えない。『県政は間違いがないから大丈夫』というおごりが感じられる」、神様じゃないのだから改めなさいと指摘されております。  こういう声に真摯にこたえて県政を運営されますように強く要望いたしまして、私のすべての質問を終わりたいと思います。       〔企画局長青木輝政君登壇〕 ◎企画局長(青木輝政 君)2点ほど再質問を受けましたので、お答えいたします。  最初に、長野以北の信越線の存続でありますが、先ほどお答えしましたように、沿線市町村との基本方針、いわゆる経営分離に当たっては市町村に財政負担をかけないように努力するという項目もございますので、今後、経営主体をどうするかとか研究を重ねてまいります。いずれにしても、沿線市町村との基本方針に基づいて実施していくということであります。  それから、2番目の横川―軽井沢間の鉄路の復活でございますが、先ほど答弁いたしましたように、廃止に当たって存続の検討というものが十分行われておりますので、それに基づいて答弁したわけでございます。  以上です。       〔生活環境部長中平龍興君登壇〕 ◎生活環境部長(中平龍興 君)鳥甲山も国有林でありますけれども、阿寺渓谷の国有林につきましては、先ほど申し上げた管理計画等では調整が非常に難しいということでございますので、御理解いただきたいと思います。  以上です。 ○議長(中島輝夫 君)次に、堀内瑛君。       〔10番堀内瑛君登壇〕 ◆10番(堀内瑛 君)続きまして日本共産党の質問を行います。  まず、教育の焦眉の問題についてです。  この10年間の日本の子供の変化は、著しいものがあるといわれています。  文部省調査によると、子供たちのいらいら・むしゃくしゃする頻度では、「日常的によくある」と「時々ある」を合わせまして、小学6年生で78%、中学3年生で81%といずれも高率に達しています。このいらいらとむかつきの高まりが、子供たちの新しい荒れ現象の要因の一つになっているのです。  また、不安を感じるでは、「日常的によくある」「時々ある」と答えたのは、小学6年生で56%、高校3年生になると78%に増加しています。不安感の強まりには、不況やリストラによる両親の不安、進路への不安、将来への閉塞感などが拍車をかけているのではないでしょうか。自分が不安に感じる原因については、「授業がわからない」と挙げている者が、小学生、中学生、高校生でいずれも半数前後に達しています。また、進路・進学の不安では、中学3年生では68%、高校3年生で77%となっています。進路・進学の不安が子供の不安の中で大きな比重を占めており、受験中心の教育体制が子供たちの心にどんなに大きな重圧になっているかを物語っています。  学校での暴力行為や事件、いじめ、ふえ続ける不登校、中途退学、そして戦後第4のピークに向かう少年犯罪など、ここには、人間が人間として形成してきたもろもろの力が衰退し、日本社会のゆがみと社会的病理が急速に進行していることを示しています。  このように激変する子供たちと教育の状況をどのようにとらえておいでになるのか、教育委員長の所見をお伺いいたします。  次に、今日の子供と教育をめぐる危機的な状況をいかにして打開するかという問題です。  政府も学校教育の抜本的改革を行うと言っていますが、第1は、学校教育を子供の成長と発達に中心を置いて抜本的に改革するという課題です。  1998年6月、国連は、日本の子供たちの置かれた状況に対して、大変厳しい内容の勧告をしました。その一つが学校教育の改革の勧告です。日本の教育制度が高度に競争的で、児童の身体及び精神に否定的影響を与えており、過度なストレス及び登校拒否を予防するための措置をとるようにという、世界でも異例といわれた勧告です。現在の学校教育が、受験中心の詰め込み教育、競争教育が基本となっていて、それが高校、中学から小学校に至るまで支配的な流れになっていることを示しているのではないでしょうか。この受験中心の教育が、学校を荒廃させ、子供の世界を荒廃させ、さらには社会人としての人間形成までもゆがめる深刻な要因となっています。  受験のための詰め込み教育の重荷から子供たちを解放し、自然と社会の仕組みを考えさせる本当の意味の知育、社会を構成する人間にふさわしい市民道徳を身につける徳育、人間が生み出してきた文化・芸術に親しみ、その感受性を養う情操教育、基礎的な体力の増強とスポーツ精神を体得させる体育、これらを学校教育の中心に据え、それをすべての子供たちのものにするよう真剣に取り組む、そのため、学習の内容は子供の成長と発達に中心を置いて学校教育の全体的な立て直しを図る、こういう学校教育の抜本的な改革を図るときであると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。  また、学校行政の面でも、子供の自主性を抑え込む管理と押しつけ一本やりの学校運営や、学校施設の荒廃を放置している教育予算の子供不在の切り詰めを改めることです。  そして、今、子供の成長と学力向上の両面から教育の抜本的改革の決め手になっているのが、少人数学級の実現です。児童生徒数が減少している今、教育予算を切り下げたり教職員数を減らしていたのでは、百年の計は成り立ちません。少子化という新しい条件を生かして、30人学級に接近して、それを実現する努力を本気になって行うときではないでしょうか。県教委は、膨大な予算が必要になる、現状ではできないと言いますが、私たちの試算では、小学1年と中学1年から学年を追って実施することで、初年度は17億7,000万円強で行うことができます。  30人以下少人数学級が子供の人格形成と学力向上に大きな効果をもたらすという研究は、アメリカでも進んでいます。今、自治体裁量で少人数学級を導入する検討が進んでいますが、県として前向きに検討すると同時に、国への強い働きかけも必要ではないでしょうか、教育長の御所見をお伺いいたします。  第2に、今、新聞、テレビによって、社会的道義に反する事件が、連日、次から次へと報道されています。こういう社会では、子供の世界にだけ市民道徳の徹底を求めても、これは空文句になってしまいます。市民道徳にかなった道義性を社会のどの分野でも確立していく努力が目に見える形で行われてこそ、子供たちの世界でも健全な発達が可能になるのではないでしょうか。子供の世界の健全な発達を図る上からも、道義ある社会を目指す取り組みが重要になっているのではないでしょうか。  さらに、子供たちを社会的な退廃から守るために、テレビや雑誌、ビデオなどの文化面で社会の自己規律を確立していくことが切実に求められています。この問題でも、国連の日本政府への勧告は、暴力とポルノなどの退廃文化から子供たちを守る問題を取り上げています。  長野市川中島では、住民運動と世論の高まりの中で、アダルトビデオ自動販売機の撤去が業者の全面的な負担によって実現するという、今までにない運動の教訓をもたらしました。このような実例をよくつかんで全県にその教訓を広め、世論と住民運動を一つの力にして社会の自己規律を確立していくことが必要ではないでしょうか、社会部長にお伺いいたします。  次に、長野県政における同和行政について社会部長にお伺いいたします。  平成11年度の県同和対策事業費は全体で35億1,800万円という大きな額で、あらゆる分野に及んでいます。本県の同和事業費は、縮小傾向を示しながらも、なお莫大な予算額を確保している五つの県に入っています。  御承知のように、現行の地域改善財特法は2002年3月をもって終結します。この時期こそ、同和行政の見直しと一般対策への移行の流れを強め、これを進めることが、県財政の健全化の上からも強く求められています。  部落問題の解決はどこまで到達しているのでしょうか。  住宅、生活環境の問題では、政府調査によっても全国平均と差異はなくなっています。県の調査でも、地区内の住宅の整備は80.9%に達しています。就労の問題では、県の調べでは、15歳以上の就業率は、就業構造基本調査と比較してみればポイントがむしろ高くなっています。教育の問題では、不就学問題は解消し、長期欠席は同和関係で全国と比べると小中とも低くなっています。高校の進学率は、平成5年県調査では94%から95%となっています。生活上に見られた格差は基本的に是正されてきたと見ることができます。  偏見の問題で見ますと、政府調査によれば、地区住民の被差別体験者は全体で33%であり、3人に2人は被差別体験がなく、最近では12.4%となっています。部落差別が事実として大きく解消の方向に進んでいることを示しています。  結婚の状況は、60歳以上の場合、地区同士が70%以上ですが、年齢が下がり20歳代になると地区外との結婚が70%以上となっています。この面でも、同和対策審議会答申が指摘したように、最後の越えがたい壁が既に越えられた壁になっています。  国民の意識では、隣近所の人が同和地区の人だとわかった場合の態度について、「変わらず親しくつき合う」が85年の83%から93年には88%にふえています。  いずれの指標を見ましても、同和問題は最終段階を迎えているといえます。  今日、解決に至らない偏見・差別が残ってはいますが、基本的には解決の前進方向にある中で起こっていることであり、質が違ってきています。国レベルの特別対策があと2年と迫った今日、次の点で社会部長にお尋ねいたします。  一つは、格差の是正、偏見の解消が最終局面を迎えているという認識についてどのようにとらえておられるか、御見解をお聞かせください。  二つは、政府の通達で「特別対策は永続的に講じられるべき性格のものではなく、事業の迅速な実施によって、できる限り早期に目的を達成し一般対策へ移行することが肝要」とし、移行のための経過措置と位置づけていることに対しまして、2年後の終結を見通して事業対策を立てているのかどうか、お尋ねいたします。  三つは、県の同和特別対策事業が優遇されている点を改善する問題です。県内の四つの団体に対する委託料は7,764万7,000円ですが、その配分はバランスを欠いています。補助金は、ある団体には5,100万円と破格の扱いになっています。バランスを欠いた予算配分を是正し、廃止すべきは廃止することができないか、見解をお伺いいたします。  次に、長野県警の不祥事について県警本部長にお尋ねいたします。  今、警察に対しては、耳を疑うような失態が連日マスコミで報道され、国会でも問題になっています。  県内でも、この1月に、2件の暴行容疑で書類送検となった事例が発生しています。この件は、警官による暴行という点と、昨年9月の事件について今年1月事件発生まで県警本部に報告されず隠していたことに、県民の批判が集まりました。ある新聞では「県警、佐久署の対応は一般の感覚とはかけ離れ、身内に甘い体質をさらけ出した」と報道しました。12月県議会での答弁にもかかわらず起きていることの原因と責任をどのように考えているか、お伺いいたします。  今日の一連の不祥事は、警察の秘密体質が生み出したものです。労働組合もない中で、自浄作用が働く仕組みがないことが原因と思われます。日本共産党に届けられた「県下副署長・次長会議結果の伝達」という文書によりますと、県警幹部の発言には県民の安全、職員の人権への配慮などという言葉は一つもなく、「プロらしからぬ者にはペナルティーを科する。勤勉手当、定期昇給、超過勤務手当、休日給などで区別する」「たがは緩みほうけ緩んでいる」「始末書、反省書を遠慮なくとれ。まじめにやっている者への見せしめの意味もある」など、公務員の職場としては考えられないことが言われています。さらに、適切な議会対応と称して、県議会で質問する動向、県議会議員、市町村長の特異情報の収集と報告を指示しているが、これでは警備公安警察偏重の体制そのものではありませんか。県警幹部は、県民を守るために存在するのではなく、警察を守るために存在しているようなものではないですか。  本部長は「県民のための警察の原点に立ち返って」と議案説明で述べられましたが、言葉だけでなく、実際に県民への情報公開を進めること、警備公安警察偏重の体制を改めること、第一線の警察官の気持ちが生きる職場づくりを進めること、以上の3点について県民の信頼にこたえる改善策をどのように実行されているのか、お伺いいたします。  次に、篠ノ井石川の地すべりに対する災害復旧対策事業に関して土木部長にお伺いいたします。  この災害に対しては、県の災害復旧事業費の増額や、土尻川事務所の適切な対応と市関係者の不眠不休の監視体制など、私はその御苦労に心から敬意を表します。その上で、さらなる対応を要望するものです。  今後の災害復旧事業の進捗に伴う予算の増額、抜本対策の現状と今後の計画、新たなボーリング調査、地元住民の各種の要望への対応など、住民の安全と希望が持てる対策事業についてお伺いいたします。  次に、県民の生命と安全を守り、平和への願いを実現する課題についてです。  昨年成立した周辺事態法は、平和憲法が存在し、平和を望む国民世論が支え、アジア諸国を初め国際的な批判も強い中で、その具体化と発動に当たっては地方自治体の決意が問われることになります。  周辺事態安全確保法9条では、地方公共団体の長に対し、協力の求め、協力の依頼ができることになっていますが、強制の明文にはなっていません。そこで政府は、「第9条の解説(案)」なるものを出して、事実上の強制を行おうとしています。例えば、「正当な理由がない限り」「権限を適切に行使することが法的に期待される」などとしています。しかし、県民の生命や財産、また生活の安全を守る立場の知事として、協力を求められた場合、どのような姿勢をおとりになるのでしょうか、知事に御見解を伺いたいと思います。  終わりに、核兵器のない21世紀をと、国連は、2000年のことししかない5月にフォーラムを、また、9月にはミレニアム国連総会を計画しています。長野県民の核兵器廃絶・平和への強い世論を代表された署名を国連に届けられるよう要望しまして、私の1回目の質問を終わります。       〔教育委員会委員長宮﨑和順君登壇〕 ◎教育委員会委員長(宮﨑和順 君)お答えします。  激変する子供たちと教育の状況についてのお尋ねでございますが、現在の子供たちが示す生徒指導上の問題は、画一性と効率性を重視して短期間に達成された近代化によるひずみや、経済成長による物質的な豊かさ、そして科学技術の進展など、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こっているものと考えられます。  御指摘のような問題行動等を起こす子供たちに見られる主な特徴としましては、第1に、社会の基本的なルールを遵守しようとする意識が希薄になっていること、第2に、自己中心的で、善悪の判断に基づいて自分の欲望や衝動を抑えることができないこと、第3に、話し合いによって問題解決する能力が十分でないこと、第4に、自分自身に価値を見出せず、みずからを大切にすることができないことなどが挙げられます。  こうした傾向は現代の子供たち一般にも見られることでありますが、自由に育てられた現代の子供たちには何事にも物おじせずに物事に取り組むよい一面もあり、例えば、オリンピックの大舞台でのプレッシャーを物ともせず活躍した若者や、阪神・淡路大震災で積極的にボランティア活動に参加した子供たちもおります。  一人一人は人間としてかけがえのない存在でありますので、子供の主体性を育て、個性を開花させるとともに、他の人を尊重する態度や地域社会の一員としての自覚など、社会性を持った節度ある人間として育てなければなりません。  そのために、幼児期から、善悪の判断や約束事を守る家庭教育を初め、学校教育、さらに地域の協力を得て相互に連携し、一体となって生きる力をはぐくんでいくことが大切であります。  文部省が昨年度実施した子供の体験活動等に関するアンケート調査によれば、家庭内の手伝いなどを含めた生活体験や自然体験が豊富な子供ほど道徳観や正義感が身についているということが報告されております。この報告書は、人間が人間としてよりよく社会生活を送るためには、さまざまな体験が必要であることを示しております。  人間は、社会的な価値を感動的な体験を通して自分の中に内面化するものであります。とりわけ、人間には絶対的な自由というものはなく、相対的な自由しかないことを共同生活などの体験学習を通して学ぶことによって、社会性がはぐくまれるものであります。  今日の子供たちには、特に生活体験、社会体験や自然体験が不足していることからさまざまな生徒指導上の問題が起こっていると考えられますので、意図的・計画的に子供たちの体験の機会を充実させることが大切であります。それぞれの地域には豊かな自然や伝統文化など心を育てる素材がありますので、地域に根差した子供の体験活動を一層充実させたいものであります。  いずれにいたしましても、子供たちは、幼児や高齢者などさまざまな人々とかかわり合い、いろいろな体験を通して社会性を身につけ、心豊かな人間に成長していくものと考えております。  子供は地域社会の中ではぐくまれるものであります。学校、家庭、地域社会が一体となって取り組む活動が展開されますよう努力してまいります。       〔教育長矢島広道君登壇〕 ◎教育長(矢島広道 君)順次お答えをいたします。  児童の権利に関する委員会が採択した日本に対する最終見解で指摘された問題に係る御質問でございますが、御指摘の最終見解の中で示されております競争的な教育制度からのストレスやいじめ、不登校といった生徒指導上の問題などにつきましては、私どもも十分承知しているところでございます。  本県といたしましても、重要な教育課題として、これまでにも解消に努めてまいっているところでございますが、この最終見解につきましては、それぞれ真摯に受けとめるべき諸事項であると思っております。  この最終見解のそれぞれの事項を一気に解決することはなかなか大変なことだと思っておりますが、現在、さまざまに教育改革が推進されております。とりわけ、学校、家庭、地域を含めた社会が一体となって、適時性に配慮しつつ、すなわち子供の発達段階に応じて、ゆとりの中で子供たちに生きる力をはぐくんでいく取り組みを大切にしたいと思っております。また、子供たちがゆとりを持ってさまざまな体験活動を積み重ねていくことも、心の豊かさをはぐくむ上で重要であると考えております。  教育委員会といたしましては、長野県教育長期構想の方針のもと、確かな知性、あふれる意欲、豊かな感性をはぐくむ教育の実現に向け教育の諸施策を推進していく所存でございますが、いずれにいたしましても、今進められております教育改革を初め国の動向にも注目しながら、所要の対応をしてまいりたいと考えております。  次に、少人数学級の実現についてのお尋ねでございます。  昨日の柳沢議員の代表質問にお答えいたしましたとおり、少人数学級の実現には毎年の膨大な財政負担が必要でございまして、県単独で行うことは極めて困難な状況であると考えているところでございます。  現在、教育委員会といたしましては、国の教職員配置改善計画に沿いまして、学級集団イコール学習集団という考え方にとらわれずに、教科や単元あるいは課題によって人数を多くしたり少なくしたりして学習効果を上げる学習形態、いわゆるチームティーチングという指導方法を積極的に進めているわけでございます。  今後とも、個に応じた多様な教育の充実や新たな教育課題に対応するため、次期教職員配置改善計画の早期策定につきまして、都道府県教育長協議会などを通じまして引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔社会部長上原芳晴君登壇〕 ◎社会部長(上原芳晴 君)お答えいたします。  子供たちの健全な育成に有害と思われる社会環境への対応につきましては、従来より、県民の理解と協力による住民運動の展開、関係業界の自主規制、そして行政の啓発努力、この3本を柱といたしまして施策を推進してまいっております。  具体的には、有害環境チェック活動等の環境浄化実践活動への助成、関係業界との意見交換や自主規制の要請、そして県民向けリーフレット12万枚の配布などを行っているところでございます。  お話にございました川中島地区の事例は、1万2,000人に上る署名を集め、撤去要請を直接業者に行うなど、いち早い積極的な対応が成果を上げたわけでございます。  社会環境の浄化に当たりましては、幅広い住民の合意に基づく地域を挙げての住民運動が最も効果的で望ましい方法でありまして、こうした取り組みを全県的に展開していくことが子供たちに配慮した関係業界の自主規制の実践にもつながっていくと、このように考えております。  次に、同和問題の現状認識についてのお尋ねでございます。  これまで、同和問題の早期解決を県政の重要課題として位置づけ、市町村、関係団体等と協力しながら鋭意努力をしてまいったところでございます。  その結果、同和地区の生活環境等の改善につきましては相当の成果を上げてきておりますが、まだ就学の問題、特に大学、短大等の進学率については格差がありますし、差別事象につきましても、インターネットによるものなど県に報告があったものだけでも昨年度8件、本年度9件発生しており、依然として根深い差別意識が存在しております。  平成11年度の県政世論調査結果を見ましても、45%の方が「部落差別が現在でも県内にあると思う」と答えており、そのうち69.6%の方が「部落差別をなくす対策を進める必要がある」としております。  このような状況から、同和問題の解決のためには、まだ多くの課題が残されていると考えております。  次に、今後の事業の見通しについての御質問でありますが、こうした本県の状況を踏まえまして、平成9年度を初年度といたします長野県同和対策5カ年計画に沿って、現在、事業を推進しているところでございます。
     国におきましては、平成9年3月に人権擁護施策推進法が施行され、この法律に基づき設置されました人権擁護推進審議会におきまして、昨年7月に人権教育・啓発についての基本的事項について答申がなされ、現在は被害者の救済について審議が行われております。  このような国の動向を注視するとともに、県部落解放審議会等の御意見を伺いながら、今後の県の同和対策の方向を検討してまいりたいと考えております。  次に、団体などに対するバランスを欠いた予算配分を是正すべきではないかとの御指摘でございますが、県におきましては、これまで、部落解放を目的とする4団体と協調し、同和問題の解決のため努力してまいりました。この4団体への助成等につきましては、「行政の施策を補完し、その活動が側面的に同和行政に寄与する等、客観的にその公共性が認められるとともに、その使途は県民の納得の得られるものでなければならない」との県部落解放審議会答申に基づき、研修会、研究会、相談事業の実施状況等を勘案いたしまして事業の助成や委託を行っているところであり、補助金、委託料は適正なものと理解しております。  以上でございます。       〔警察本部長松田広光君登壇〕 ◎警察本部長(松田広光 君)順次お答えいたします。  まず、元佐久警察署員の不祥事案ですが、昨日、柳沢議員の御質問にお答えしましたとおり、所要の捜査を尽くして長野地方検察庁に送致するとともに、行為者本人を諭旨免職とし、また監督者の責任についても、捜査は進めておりましたものの本部への報告がおくれたことなども含め、懲戒処分等の厳正な処分をしたところでございます。  この事案の原因は、個人の職務倫理意識の希薄さによるものと考えておりますので、従来から進めてまいりました職務倫理教養をさらに徹底してまいる所存でございます。  次に、御提案の改善策についてお答えいたします。  まず、情報の公開をということですが、そもそも警察活動は県民の皆様の理解と協力なくしてはなし得ないものでありますことから、捜査に関するものなどその性質上公開になじまないものを除きまして、県民の皆様にお知らせすべき情報については可能な限りお知らせしてきたところでありますし、今後もそのようにしてまいる所存でございます。  次に、組織体制に関してですが、警察としましては、限られた警察力の効果的運用という観点から、その時々の治安情勢に応じまして、最も効果的に機能するよう運用してきているところでありまして、今後も効果的運用に努めてまいる所存でございます。  次に、職場づくりの点でございますが、私といたしましても、第一線の警察職員が日夜寝食を忘れて職務に精励していることに思いをいたし、そうした職員にとって働きがいのある職場、そして働くことの幸せを肌で実感できるような職場づくりに努めているところでございます。  以上でございます。       〔土木部長小川健君登壇〕 ◎土木部長(小川健 君)お答えいたします。  篠ノ井下石川の地すべり対策につきましては、地すべり発生以来、災害関連緊急地すべり対策事業や12月補正など必要な予算額の確保を図り、切り土、押さえ盛り土、地下水排除などの応急対策とそれに続く抜本対策を進めてきており、その効果があらわれ、現在は変状が鎮静化してきているところでございます。  今後は、雪解け期を迎えるに当たり、地すべりが活発化しないよう、これらの抜本対策を一層促進してまいります。  地すべり調査につきましては、当面、現在の地すべりの拡大が予想される範囲において重点的に実施しており、ボーリングの深さについては、先行する調査結果により対策に必要な深さを把握し、加えて専門家の意見を聞きながら進めているところでございます。  また、これまで、地すべりの移動量や対策工事の進捗状況等を図表を使って掲示板で公表するなど画期的な方法で情報を提供したり、30回に及ぶ説明会を開催し、住民の方々の不安や要望をお聞きしてまいりました。  今後も、住民の皆様方の不安や要望に耳を傾けるとともに、長野市など関係機関との調整を重ねながら、一層の安全確保を図ってまいりたいと考えております。  以上です。       〔知事吉村午良君登壇〕 ◎知事(吉村午良 君)周辺事態安全確保法についての御質問でございますが、これまでの国の説明によりますと、この法律第9条に基づく国から地方公共団体に対する協力要請は、「現行法令に基づき地方公共団体の長が有する権限の適切な行使を求めるものであり、現行法令を超えた対応を求めるものではない」と、このようにされておりまして、また、「正当な理由がある場合には、協力を拒むことができる」とされております。  御質問は、協力要請があっても応ずるべきでないということでございますけれども、協力要請の前提となる周辺事態の内容は、個々の事態により大きく異なるものと考えられます。したがって、その事態に際しまして国から求められる地方公共団体への協力要請の内容も、事態ごとに異なるものと考えられます。  したがって、具体的に協力を求められた場合には、県民生活への影響などを含め、総合的に判断し適切な対応をしてまいりたいと、このように考えております。       〔10番堀内瑛君登壇〕 ◆10番(堀内瑛 君)初めに、県警本部長にお伺いいたします。  昨日もありましたが、佐久の事件につきましては厳正な対処ということを再び説明されましたけれども、県民に向かっての率直なおわびというものをこの場でやっていただいた方がいいんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。  次に、警察の体質の問題でございますけれども、機構が効果的かどうかということでもって説明されましたが、私はそういうことではないというふうに思うんです。テレビでも言っておりますが、日本の警察が警備公安偏重の体制になっているのか、それとも個人の生命・財産、そして犯罪の防止、捜査、こういうことに力を置く警察になっているのかということが問われているのではないかというふうに思うんです。そのことは、機構が効果的であるかという問題ではなくて、どっちを向いているかという問題だというふうに思いますので、その点を明確にお答えいただきたいというふうに思います。  もう一つは、生きがいのある職場づくりに努めているということでございますが、私の質問は、そういうものに向かって具体的にどういう手だてをとられているかということをお聞きしたわけですので、ぜひともお聞かせいただきたいというふうに思います。  次に、同和事業に対して意見を申し上げますが、1922年3月3日、水平社の創立大会が開かれました。その宣言は「人の世に熱あれ、人間に光あれ」とうたい、部落解放運動の歴史の歯車が回されたわけでございまして、社会進歩に大きく貢献してまいりました。  同和問題が最終局面を迎えている中で、同和問題の特別扱いではなく一般行政の中で花を開かせていく、このことが真の国民的融合を実現する道であると私は強く確信するものでございます。  最後に、周辺事態法にかかわりまして、事態によって対応が異なるというお話でございましたけれども、知事におかれましては、高知県の橋本知事が言われましたように、県民の生命・財産・安全を守る立場から、その熱い思いをぜひとも貫いていただきたいということを心から要望申し上げまして、第2回目の質問を終わりにします。       〔警察本部長松田広光君登壇〕 ◎警察本部長(松田広光 君)3点あったかと思いますが、順次お答えいたします。  第1点につきましては、昨日の議会におきましても遺憾の意を表明させていただいたところでございます。  第2点につきましては、体質という問題ではございませんでして、必要なところに人員等を投入しているということでございます。  それから、第3点の具体的な例をということでございますが、いろいろやっております中で一例を申し上げますれば、例えば現場職員からの提案制度というのを実施しておりまして、各現場におります職員からいろんな提案をしていただいております。そういうものを踏まえて、私どもとしましても、職場づくりに役立つものについては採用して実施しているところでございます。  以上でございます。 ○議長(中島輝夫 君)昼食のため午後1時20分まで休憩いたします。         午後0時17分休憩         ───────────────────         午後1時20分開議 ○副議長(森田恒雄 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  宮沢宗弘君。       〔35番宮沢宗弘君登壇〕 ◆35番(宮沢宗弘 君)農政部長に伺います。  農業は、食の安全性確保、自給率の向上、水源涵養機能の確保、生態系の保護、循環型農業の推進等、21世紀に向け極めて重要な県政の柱であります。  「心の豊かさ」「自然との共生」が県政の重要なテーマと位置づけられ、農業の持つ環境、景観等の保持機能の大切さ、万物の命をはぐくむ農業の多面的機能等、農業・農村にこそ新たな価値観を見出す時代だと考えます。  昨年11月30日より12月3日までの間開催されたWTOのアメリカ・シアトル閣僚会議では、「農産物を鉱工業製品と同一ルールのもとに置く」というアメリカなど一部の国の考え方が受け入れられず、宣言の採択が行われないまま閉会となりました。  いよいよ、新ラウンドに向けたジュネーブでの会議が正念場であります。我が国農業の主張が農業交渉の中で十分反映されるための国際的な運動の展開が極めて重要と考えます。同時に、農業・農村が持つ多面的機能の重要性については、国際的に主張するだけでなく、国民に対しても理解を得ていくことが農業交渉に向けての国内世論形成につながるものと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、伺います。  農業・農村の振興、再建を目指した中山間地域の直接所得政策の拡充、自給率の向上、地場産品の加工・流通を含む生産から消費にわたる施策の確立等が進む中、遺伝子組みかえ食品等に対する不安が広がっています。安全性の確保や環境保全の立場から、表示や生産規制を行うべきだとの声も高まってきています。  食糧の安全保障、環境保全、農業・農村の活性化等を図るためには、地元の農産物のよさを理解してもらえるようなマーケティングを講じていくとともに、情報化が進む中、さまざまな流通システムを構築していくことが重要であると考えますが、今後の展開方向について伺います。  次に、立地条件を生かした園芸産地の育成についてでありますが、過日、JAあづみの創立35周年と組合代表者集会の席へ出席の機会を得ました。  現況報告の中で、生産販売事業では、蔬菜関係は長期安値が続き、施設園芸を中心に土壌病害が発生、特にセルリーでは萎黄病が多発し、湿害とあわせ大きな問題となったことが報告されました。私も、生産者の皆さんから、「連作障害の技術は確立されていないのか」と、減反政策が続く限り、他作物を生産する上で連作障害は極めて深刻であることを聞いています。キノコについても、1年を通じ安値傾向が続き、需要期にも低迷し、生産に打撃を受けているとのことです。私の友人も何人かがキノコ栽培に専念していますが、「冬場に価格低迷が続くようなら、夏場はとても採算が合わず、生産を断念せざるを得ない」との悲壮な声も聞きます。また、花卉についても、景気の低迷から消費量が減退し、各品目ともに価格が振るわない現況にあるとのことです。  このような状況において、本県の立地条件を生かし、新技術や新品種を取り入れ、鮮度、品質、安全性にすぐれた日本一の園芸王国づくりを進めようとしていますが、連作障害への対策、省力化での安定的生産と出荷、価格安定策、人的確保等、多くの課題の解決が不可欠であります。園芸王国づくりに向け、これら諸問題も含め実効性のある対策が求められています。具体的プロセスについて伺います。  次に、輸入リンゴの取り扱いについてであります。  本県産リンゴは全国的にも高い評価を受けており、私の住む安曇野でも、特産品の一つとして、品質の向上、生産の拡大等その栽培に力を入れているところであります。しかし、1993年から火傷病、コドリンガの防除体制が整ったとして輸入が解禁されてからリンゴが次々と輸入され、国内生産農家を直撃しています。  輸入リンゴについては、当初から、安全性への疑問、病害虫の侵入等、問題点の多いことが指摘されていたところであります。こうした中、昨年12月に輸入解禁されたアメリカ産リンゴ「ガラ」から、日本では農薬に登録されていないばかりか、残留基準も設定されていないジフェニルアミンが検出されたことが報道されました。環境ホルモン全国市民団体テーブルによると、検出されたのは「ガラ」の皮から0.15ppmで、国際基準の5ppmを下回っているものの、皮膚や目を刺激し、中枢神経に悪影響を与えるほか、動物実験では発がん性が確認されている農薬であるといわれています。  リンゴ輸入では、以前にも検疫システムのずさんさ、ポストハーベスト農薬の危険性が明らかにされたにもかかわらず、不備が改善されていない状況とのことであり、従来から心配されていた病害虫の侵入についても不安や不信が募るばかりであります。  県民の安全と県内果樹産業を守る立場から、県労農会議等がその取り扱い指導について過日県へ申入れを行ったと聞いています。  輸入リンゴ等残留農薬の検査体制を強化し、検査の公表を行うことや、県内果樹産業の発展と、消費に安全で安心、愛される信州リンゴを守るため、輸入リンゴの県内流通量、流通業者、価格調査の実施及び流通業者に対し安全性確保等適切な指導を図ることが求められています。今後の方針と具体策について農政部長並びに衛生部長にお伺いします。  次に、環境に配慮した農地、農業用施設等の土地改良施設整備の推進について伺います。  本県の山岳に囲まれた農村景観、広々とした大地に広がる野菜・果樹地帯、これら豊かな田園空間は本県の大きな財産でもあります。信州の農村観光資源としてもその価値を十分に持つものであり、今後とも農村空間を一つの資源として維持し創造していくことは極めて重要であります。  圃場整備や農業用水路など土地改良施設整備を進める農業農村整備事業は、農業の効率性、生産性向上を第一義的な目的としての事業ではありますが、子供たちが水に親しめるような親水性への配慮、蛍や魚など生物の生息を促す農業用水路整備等、徐々にではあるが各地で取り組みが進んでいると聞きます。  私の住む豊科町の南小学校においても、地域関係者の理解と協力のもと、圃場整備にあわせ自然形の水路がつくられました。このたび、日本生態系協会が主催した第1回全国学校ビオトープコンクールにおいて優秀賞に輝きました。学校では、「地域に支えられ、子供たちが泥まみれになって環境を守る努力が認められてうれしい。今後も全国に誇れる自然環境を大切に、豊かな心をはぐくむ体験活動にさらに取り組んでいきたい」と受賞の喜びを語っています。  このような環境に配慮した土地改良施設整備は、コスト面や維持管理面での課題も伴いますが、こうした取り組みを積極的に進めていくことが大切だと感じております。  地域の環境特性を生かし、住民理解のもと、環境保全対策の進め方、実施手順、具体的方策等、県として提示・助言し、地域の特色ある取り組みを支援していくべきと考えますが、今後の方針と具体策についてお伺いいたします。  土木部長に伺います。  生活貯水池、黒沢ダムの早期着工に向け、私は機会あるごと強く要望してまいりました。三郷村を流れる黒沢川の下流は天井川であり、流末は大部分は地下浸透をして用水路に流れ込んでいます。地域一帯は、大洪水に見舞われ危険にさらされた歴史もあり、現在、国・県営による広域排水事業が進められています。村では、人口の急増に対処するため上下水道の整備も進めており、近い将来、生活用水の不足が心配されています。  黒沢ダムは、治水・利水上極めて重要かつ必要なダムと位置づけられ、平成3年より事業着手され、現在、地質調査が行われています。地元では一日も早い建設着工を望んでいます。本年度中にはダム位置の見通しがつくとお聞きしておりますが、その具体的な見通しと今後のスケジュールについてお伺いいたします。  一方、従来のダム建設では、本来の川や自然が死んでしまう危険もあります。すなわち、川に水が流れず、したがって水生動植物がすめず、生態系への悪影響も出てきています。私の近くを流れる梓川、犀川等においても、著しい河床低下や水不足により、農水産業に影響したり、カジカ等生物の生息は絶滅の状況にあります。私たちの子供のころは、河原は遊びの空間であり、魚とりや水遊び等、自然に親しむ体験学習、教育の場でもありました。  これからのダム建設は、川に一定量の水が常に確保され、河川環境に配慮したダム、また、河床低下を防止し、農業用水の確保や水生動植物が生息できるような生きた河川づくりを目指し、排砂構造を擁した建設が必要であります。技術面での可能性も含め、建設に当たっての姿勢、取り組みの基本的考え方についてお伺いいたします。  本県は、山岳に囲まれた急峻な地形や脆弱な地質が多く、土砂災害等の危険箇所が各所に散在しています。土砂災害に対する安全性を一層高め、災害から県民の生命・財産を守り、安心して暮らせる県土づくり、災害に強い安全な地域づくりは県民の願いであります。  いよいよ春3月、雪崩などの危険も増す季節です。監視体制の強化はもとより、危険箇所の調査、被害箇所の災害再発防止等、万全の策をとらなければなりません。特に、土砂災害の緊急点検による危険度の高い箇所は、早期の安全対策が求められています。砂防ダム等土砂災害対策に対する今後の方針について伺います。  昨年9月14日から15日にかけた台風16号による豪雨で、主要地方道上高地公園線の安曇村釜トンネル坑口付近において約1,000立米といわれる土砂崩落が発生しました。ロックシェッドが約15メートル破壊され、唯一の道路は閉ざされ、約1,300人が下山不可能となりましたが、復旧に当たっては、土木部、松本建設事務所等関係方面の早急かつ懸命な対策により避難路が確保されました。災害時のバス運転手による的確な判断もあり、幸いにして全員が無事下山できましたが、安房トンネル開通に期待を寄せていた観光面においては大打撃を与えた災害でありました。  その後、県当局の迅速かつ適切な決断により、新たなルート設定による新トンネル建設の方針が決定され、地元関係者からは大きな期待がかけられ、大変感謝しているところでございます。春の観光シーズンも間近となりました。一日も早いトンネルの完成が待たれるわけでありますが、今後の完成見通しと工事の進捗状況について伺います。  企画局長に伺います。  国道158号線は、安房峠道路の開通により、主要観光地へ通ずる道路として、交通量の増大から沿線の生活環境が悪化している状況にあります。  島々バイパスの建設促進、主要地方道奈川木祖線の改良と新たな渋滞解消策等、土木部を中心に御苦労いただいており、関係自治体は大変感謝しているところであります。  一方、上高地の交通渋滞対策については、自然保護対策、混雑緩和のための入り込み規制、沢渡地区の機能強化等、総合的な視点からの検討が必要であります。以前から副知事にも陳情、企画局が窓口となって検討願うこととなっていますが、上高地周辺のその後の交通渋滞対策等の状況と今後の課題、方向づけについて伺います。  教育長に伺います。  本県はオリンピック・パラリンピックの開催が大成功をおさめたことから、NAGANOを広く世界に広めました。また、一校一国運動等を通じ子供たちの夢が大きく世界へと広がり、国際交流にまで発展しています。  21世紀はまさに国際化の時代であり、国境を越えた交流が一層盛んになるものと思われます。  今、すばらしい自然環境を生かし、松本平広域公園にサッカー場の建設が12年度完成を目指し急ピッチで進められています。ポストオリンピック事業の一つとして、2002年ワールドカップサッカー大会出場各国代表チームのキャンプ地として、積極的に誘致を図るべきとの声が高まっています。この実現に向け県としてあらゆる努力と運動の展開を図るべきと考えますが、現況と見通し、今後の取り組みについてお伺いいたします。  最後に、警察本部長に伺います。  既に本議会において取り上げられている問題でございますが、最近、神奈川県警本部長の覚せい剤使用もみ消し事件、京都府警の殺害容疑者自殺事件、新潟県警の女性監禁事件をめぐり発覚した本部長や警察局長等の宴会・マージャン問題など一連の不祥事は、警察行政に対する国民の信頼を著しく失墜させ、一般社会では考えられない身内のもたれ合い体質と住民からかけ離れた感覚は大きな不信感となり、まじめに働く者や次代を担う青少年等にさまざまな悪影響も懸念されるところであります。  警察は、決して特権階級ではなく、住民との信頼・信用関係が極めて重要であると思います。一部上層部の行為とはいえ、一連の不祥事は、第一線で寝食を忘れ命をかけて活動している現場警察官の士気にも影響しかねません。厳正・公平な、より開かれた警察行政を目指し、国民の信頼を高めることは急務であります。  改革すべき諸課題は多いわけですが、多発するこれら問題に対する見解と、本県における綱紀粛正等どのような職員管理をされているのか、率直な御意見と所見をお伺いいたし第1回目の質問を終わります。       〔農政部長高野義文君登壇〕 ◎農政部長(高野義文 君)順次お答えを申し上げます。  初めに、WTO農業交渉に向けて、多面的機能の重要性について国民の理解を得ていくための取り組みへのお尋ねでございますが、次期WTO農業交渉においては、御指摘にありましたように、多面的機能の重要性について国際的に主張するだけでなく、国民の理解を得ていくことが大変重要であると考えております。  県では、農林業、農山村のすばらしさや生命産業としての公益的で多面的な役割について多くの方々に理解していただくため、以前からさまざまな取り組みをしてきております。県内外へ幅広い情報発信を進めるため、平成9年度より農林業団体と連携し「信州農山村ふるさと運動」を展開しており、先月18日には「食と農を学び育む県民運動」を、行政、農業関係団体、食品産業の事業者、さらには消費者団体も含めた多くの関係者の賛同を得て立ち上げました。また、子供たちに向けてわかりやすく編集しました「いのちのめぐみ発見の旅」を県下の小中学校へ配布するとともに、都市に住む方々に向けては、グリーンツーリズムや農産物オーナー制度等、農山村での交流や農業体験を通じて農業・農村の果たす役割について理解の促進を図ってまいりました。  今後も、さまざまな機会をとらえて、農業・農村の持つさまざまな多面的機能、役割についての理解と国内世論形成に向けて実践的な取り組みを展開してまいる所存でございます。  次に、地元農産物のよさを理解してもらえるマーケティングと情報化の進む中での流通システムの構築についてのお尋ねでございますが、地元農産物のマーケティングは多岐にわたっておりますが、近年増加してきた農産物の宅配や女性の皆さんなどによる直売所――県下に約600カ所ございますが、これらは消費者と生産者が直接触れ合うことのできる場であり、地元農産物の特徴をPRする一方、消費者の反応をキャッチできる格好の機会となっております。また、量販店での地物特売コーナーもふえてきており、各地でのこうした取り組みが地域の農産物の評価を高め、産地の活性化につながることが期待されますので、今後も直売所間の情報交換や施設整備等さまざまな面で引き続き支援してまいりたいと考えております。  次に、情報化時代での流通システムの構築についてでありますが、昨今は新しい媒体を使った農産物の取引が広がるなど、産地側、消費側にとって多様な流通ルートを選択できる時代となってきております。情報化の一層の進展は、さらに新たな流通形態を生み出しますが、例えば青果物の流通においては、市場流通における相対取引の増加、多様な市場外流通の増加、インターネット取引などの増加が予想されます。  各流通ルートにおいて迅速化、効率化、低コスト化が一層図られ、消費者、生産者双方にメリットをもたらす効率的で安定した多様な流通システムが構築されていくことを期待しているところであります。  2点目の園芸王国づくりの推進についてのお尋ねですが、本県は、耕地の標高差や温度の日較差が大きいことから、園芸作物の生産にとって最適の立地条件を備えております。  園芸振興の取り組みに当たっては、多様化する消費者ニーズに的確にこたえられる供給体制の確立、生産性の向上と安定生産・低コスト化の推進、消費、販路の拡大と有利販売、多様な担い手の確保と経営体質の強化等を一体的に推進することが重要であると考えております。
     御指摘のありました具体的課題への対応としては、野菜の連作障害対策につきましては、健康な土づくりと輪作体系の確立を基本としながら、環境に優しい防除技術や耐病性品種の育成等を進めており、平成12年度からレタスの根腐れ病、13年度からセルリー萎黄病の抵抗性系統を現地試験に移す予定としております。  省力安定的生産については、共同育苗の推進や、定植機、収穫機などの省力機械・施設の整備、省力技術の開発・普及を進め、経営対策としては、引き続き価格安定事業を実施するとともに、国段階でのさらなる経営安定対策の具体化を要望してまいります。  園芸作物の担い手の確保については、トレーニング農場の整備等による幅広い新規参入の促進や営農支援体制の整備を進めてまいります。  今後も、関係機関・団体が機能分担しつつ、直面する諸課題を一つ一つ具体的に解決していく実効ある取り組みを通じて、日本一の園芸王国を目指してまいりたいと考えております。  3点目の輸入リンゴの調査等についてのお尋ねですが、輸入リンゴの流通量等の調査につきましては、県内卸売市場で取り扱われるものは、価格、数量等調査を実施し、公表してまいります。  しかし、今回のアメリカ産「ふじ」は輸入代理店と大手量販店とで直接取引されたものが主体であることから詳細な調査は困難が伴いますが、県内小売店舗で販売された場合は協力を得て販売価格、販売状況等を調査し、県内産リンゴに与える影響の把握に努めてまいります。  なお、輸入解禁に伴う火傷病、コドリンガなどの我が国への侵入の懸念については、引き続き万全な検疫体制がとられるよう、その充実を国に要望してまいります。  4点目の環境に配慮した農地、農業用施設等の土地改良施設整備の推進についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、農村地域には、食糧の供給基地としての役割だけでなく、良好な農村景観や自然環境の保全等多面的な機能があり、その適正な維持に対する国民の要求が高まってきております。  国においては、昨年制定された新農業基本法を踏まえて土地改良法の改正作業が進められており、環境に配慮した土地改良事業のあり方について検討がなされているところであります。  県といたしましては、これまでにも地域の特性に応じて環境に配慮した事業の実施に努めているところであり、安曇野地域では、豊科南部地区や有明地区等の圃場整備事業や水環境整備事業にあわせて親水水路や農村公園を整備してきております。  また、今後の方策といたしましては、自然石を用いた石積み水路など環境に配慮した具体的な整備手法を内容とした「長野県農業農村整備環境対策指針」を策定中でございまして、本年4月から活用することとしており、地域住民参加のもとで農村景観や自然環境に配慮した事業の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔衛生部長畑山善行君登壇〕 ◎衛生部長(畑山善行 君)お答えいたします。  輸入リンゴなどの残留農薬の検査につきましては、まず国が全国各地の港とか空港にあります検疫所で行っております。検査の結果、違反となった食品は、廃棄または輸出国へ返還といった措置が講じられております。  国では、ふえ続ける輸入食品の安全確保のため、検疫所の増設、高度な精密検査施設の新設や食品衛生監視員の増員など、監視と検査体制の充実強化に努めております。  県では、県民の健康を守るために、食品衛生法に基づき県内に流通する食品の検査を実施しております。平成元年度からは、輸入食品衛生対策事業として、増加する輸入食品の検査を強化してまいりました。特に、輸入リンゴにつきましては、県内に流通が認められた平成7年度から残留農薬の検査を実施してきております。現在までのところ、違反となる事例はありませんでした。  今後とも、輸入リンゴを含め輸入食品の安全確認のために、流通実態に即した検査に努めるとともに、流通業者に対しては自主的な検査の実施を指導してまいります。  検査結果については、報道機関、各種情報誌や保健所の相談窓口を通じて公表しております。引き続き、輸入食品に対する県民の方々の不安解消のため、速やかな公表に努めてまいります。  また、国に対しては、輸入食品の安全確保のため、農薬の残留基準の設定と監視、検査の徹底について今後とも要望してまいります。  以上です。       〔土木部長小川健君登壇〕 ◎土木部長(小川健 君)順次お答え申し上げます。  黒沢ダムは、下流地域の皆様の生命・財産を洪水被害から守るとともに、松本市のベッドタウンとして水需要が急激に増加している三郷村に安定した水道用水を供給し、また、農業等に必要な用水を補給するための生活貯水池として、地元から強い要望をいただいております。  さらに、昨年6月末の梅雨前線豪雨では、黒沢川下流で13戸の床下浸水や耕地の冠水などの被害が発生しており、県といたしましても、黒沢ダムの早期建設の必要性について改めて認識したところでございます。  まず、黒沢ダムのダム位置決定の具体的見通しと今後のスケジュールについてでございますが、平成3年度に建設採択されて以来、ダム位置を決めるためのボーリング等の調査を実施してきたところでございます。現在、地形、地質の調査結果などから最も有利なダム位置の絞り込みをしており、所定の手続を経て近々決定したいと考えております。  平成12年度は、つけかえ道路の測量設計やダム本体設計のための補足調査等を予定しており、平成13年度以降、順次、用地買収やつけかえ道路工事に着手し、できるだけ早期にダム本体工事に着手できるよう、事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。  次に、河川環境に配慮したダム建設についてでございますが、県といたしましても、河川環境の保全のため、河川に一定の水量が流れていることが好ましいと考えております。現在進めておりますダムにおきましても、河川が本来持っている維持流量や農業用水を確保することにより、人々に潤いをもたらすとともに、魚や昆虫などの水生生物が生息できるよう、河川環境に配慮しているところでございます。  また、排砂構造を有するダム建設についてでございますが、排砂構造といたしましては、県が松川ダム再開発事業で計画しておりますバイパストンネルによる方法や、他の県で実施例のありますダム本体に設置する排砂ゲートによる方法などがあります。松川ダムでは、上流の生産土砂が多いことから、バイパストンネルを通じて土砂を下流に流し、通常の河川と同様の状態とする計画であります。一方、ダム本体に排砂ゲートを直接設置する方法につきましては、湛水時に排砂ゲートを開いて貯留水とともに土砂を流す方法であり、技術的には可能であります。  いずれにいたしましても、排砂施設の設置につきましては、流域の特性、流入土砂の量、下流への影響など、総合的に検討することが必要であると考えております。  次に、今後の土砂災害対策の方針についてでありますが、本県における土木部所管の土石流、地すべり、がけ崩れのおそれのある、いわゆる土砂災害危険箇所は定期的に調査しており、現在、6,200カ所を超えております。これらにつきましては、計画的に整備を進めているところでございますが、特に、幼稚園、老人ホームなど災害弱者関連施設のある箇所や近年において災害が発生した箇所などを、緊急点検に基づき重点的に実施しております。  また、これまでに砂防ダム等の施設を整備した箇所では、下流人家や交通機関への土砂流出を防ぐなど多くの効果を発揮しておるところであり、最近では、宮田村の長坂沢や小谷村の濁沢のように、砂防ダムが被害を防止もしくは軽減した事例がありました。  しかしながら、早急にこれらのすべての箇所に砂防ダムの設置など施設整備を図ることは困難な状況でありますので、土砂災害から人命を守るため、危険区域図の配布や表示板の設置等により危険箇所を住民に周知したり、雨量監視システムによる警戒避難のための雨量情報を提供するなど、ソフト対策を積極的に進めております。  平成11年度は、その一環といたしまして、小谷村、奈川村、南信濃村など県内6町村の郵便局と「土砂災害の防止に関する連携協力の実施協定」を締結し、土砂災害情報を収集するとともに、郵便局において情報の掲示を行うなど、住民への周知を図ることといたしました。  今後とも、土砂災害を未然に防ぎ、災害に強い安全な県土づくりのため、緊急性、重要性を考慮し、環境にも配慮しながら、砂防、地すべり、急傾斜などの施設を重点的に整備するとともに、ソフト対策を推し進め、総合的な土砂災害対策を推進してまいりたいと考えております。  次に、主要地方道上高地公園線における災害復旧工事についてでございますが、当該箇所は、大規模な落石により既設のロックシェッドが崩壊したものであります。災害時は秋の観光シーズンの最盛期を迎えており、早急な交通の確保が不可欠でありました。  このため、上部のり面の浮き石の除去をし、防護ネットを応急的に設置して、災害発生から13日目に、時間規制でありましたが、監視員を配置して安全確認を行いながら通行可能となりました。引き続き、応急仮復旧工事といたしまして仮設の鋼製ロックシェッド工事に着手し、関係者の昼夜にわたる懸命な作業により短期間で完成し、監視カメラの設置など補完的な対策を講じ、災害発生から25日目で交通の確保ができました。  また、本格的な復旧は、現道における復旧が困難なため、山側へ迂回するトンネル化が最善の方策と考え、災害復旧費に改良費を加えた災害関連事業として国に申請し採択されたものでございます。  復旧工事の内容は、トンネル670メートルを含みます全長735メートル、幅員7メートルの2車線道路のバイパス工事であります。  この道路は、我が国屈指の国際観光地であります上高地への唯一の道路であり、観光シーズンには自然渋滞がしばしば発生しております。このため、トンネルの掘削土砂の搬出や資材の搬入など、工事による渋滞が最小限となるよう努めてまいります。  現場は、梓川と急峻な山に挟まれた地形であるとともに、一帯が国立公園第2種特別地域に指定されているため、資材置き場や工事用の仮設備の設置が制限されますが、環境に配慮した施工を心がけてまいります。  現在、環境庁や林野庁など関係機関との協議を進め、今月末の入札に向け公告をしたところでございます。  いずれにいたしましても、非常に厳しい施工条件ではありますが、工事に当たりましては地元や観光旅館組合など関係者との十分な調整を図るとともに、効率的な施工管理により平成14年ころの完成に向け努力してまいります。  以上です。       〔企画局長青木輝政君登壇〕 ◎企画局長(青木輝政 君)上高地の渋滞対策等についてお答えいたします。  県では、安房トンネルの開通に伴う交通量の増加により上高地周辺の交通渋滞の状況が悪化したため、平成10年10月に上高地交通渋滞対策等庁内検討会議を設け、交通、自然保護、観光面などさまざまな角度から総合的に検討し、「来訪者が快適に感じる上高地へ」を目標に施策の方向づけを行い、さまざまな対策を実施しているところでございます。  これまでの状況でありますが、宮ノ下トンネルの整備や大正池バス乗降スペースの設置などの道路改良事業に取り組んでいるほか、走行中のバス、自家用車、タクシーに旅行時間や渋滞情報をリアルタイムで提供するための新交通管理システムの国道158号への導入や、インターネットの活用による渋滞予測情報の提供など、ソフト面の対策も積極的に対応しているところであります。  平成11年度の渋滞発生の状況でありますが、国道158号における1キロメートル以上の渋滞発生日は平成10年度の14日から9日に減少しておりますが、県道上高地公園線の800メートル以上の渋滞発生日は平成10年度の26日とほぼ同様の27日となっております。  この渋滞は、観光客の入り込みが5月の連休、夏の観光シーズン、秋の観光シーズンの土日・祝日の特定日に集中していることや、上高地バスターミナルの駐車場が狭く、一定の時間帯に集中する観光バス等に対応できず路上駐車が発生するため、路線バスの運行にも支障を来すことが主な原因と思われ、今後の対応が求められております。  上高地におけるマイカー規制等に取り組んでまいりました上高地自動車利用適正化連絡協議会においても、中長期的視点に立って観光バスの規制など交通渋滞の抜本的対策について検討を進めており、平成11年度から沢渡あるいは平湯での観光バスから路線バスへの自主的な乗りかえキャンペーンを実施し、その効果等を検証しております。  今後、県といたしましては、上高地交通渋滞対策等庁内検討会議において取りまとめた新交通管理システムの県道上高地公園線への導入など、道路利用者への情報提供の強化、道路改良、防災工事の促進等の対策を着実に推進するとともに、平成11年度から観光バスの混雑予想日における規制を実施した尾瀬の状況を注視しつつ、上高地自動車利用適正化連絡協議会等と連携し、入り込みの分散化、平準化を促進するための施策の充実などを検討してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔教育長矢島広道君登壇〕 ◎教育長(矢島広道 君)ワールドカップサッカーのキャンプ地についてのお尋ねでございます。  昨年9月18日に、誘致運動を推進するため、松本商工会議所、県サッカー協会、そして県と松本市などが中心となりまして、2002年ワールドカップサッカー大会松本キャンプ推進協議会を設立いたしました。その後、9月27日に大会事務局の組織委員会へ公認キャンプ候補地の申請をしたところでございますが、キャンプ候補地には、大会に出場する32カ国を大きく上回る84カ所が立候補している状況でございます。  今後につきましては、組織委員会が立候補地の現地調査などを行いました後、平成13年6月までに公認キャンプ候補地を選定し、夏以降に最終的に決定されます出場国に候補地リストを配布することとなっております。出場国は、このリストをもとに主体的にキャンプ地を選定するということになるわけでございます。  松本は、施設や立地の面におきまして、松本平広域公園内においてJリーグの公式試合が開催できる総合球技場を建設中でありますし、複数の芝生練習場や屋内練習ができる施設などもありまして、施設面において大変充実していると思われます。また、空港に隣接するなど交通の利便も良好でございます。また、ソフト面でも、長野オリンピックやサイトウ・キネン・フェスティバルの開催を通じて培いましたホスピタリティーやボランティア活動など豊富な実績もありますので、キャンプ地としての諸条件を十分に満たしていると考えているところでございます。  県といたしましては、今後とも、推進協議会と一体となりまして、関係団体と連携を図りますとともに、各国の競技連盟及び在日大使館へパンフレットを送付するなど積極的にPRを行います一方、地元における盛り上げを図るということでイベントを開催するなど、さまざまな活動を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔警察本部長松田広光君登壇〕 ◎警察本部長(松田広光 君)お答えいたします。  私どもは、県民の皆様の安全と平穏な生活を確保するという崇高な使命をいただいているところでありますが、これも県民の皆様の御理解と御協力があってこそなし得るものと心得ております。  そうした中で、昨今、御指摘のような事案によりまして警察に対する国民の皆様の信頼が揺らいでいることは、まことにもって残念であります。  しかしながら、いかなる情勢下にありましても、私どもが意気消沈して任務に遺漏を生じさせることは許されるものではありませんので、職員には、黙々と職務に邁進し、仕事の成果で県民の皆様におこたえしていくように求めているところであります。長野県警察 3,500余名の全職員は、これにこたえて、議員から現場職員に対して温かい励ましをいただきましたとおり、日夜、身命を賭して、寝食を忘れて職務に精励しているところであります。  改めて申し上げるまでもなく、私どもは、県民の皆様の負託をいただき、それにおこたえしていく責任を負っておりますので、県民の皆様の信頼を確固たるものとするために、綱紀を粛正し、職員管理を徹底することが肝要と考えております。  そのためには、昨日の柳沢議員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、職務倫理教養、各級幹部による業務管理、職員の身上監督などをさらに徹底しますとともに、改めるべきは改め、正すべきは正して、全職員の先頭に立って県民の皆様の負託におこたえしていく所存でございます。  以上でございます。       〔35番宮沢宗弘君登壇〕 ◆35番(宮沢宗弘 君)それぞれお答えをいただきましたけれども、衛生部長並びに土木部長に再質問いたします。  リンゴなどの輸入食品に対する安全性については、国へ要望していくということは当然なことだというように思いますが、県民の食生活の安全を守るという立場から、県独自の検査体制の強化というようなことは図るつもりがないのかどうか、お伺いします。  また、土木部長には、黒沢ダムの位置が近々決定という答弁をいただきましたが、この近々というのは、本年度中、すなわち3月いっぱいということを指すのか、おおよその時期等が明示できたら具体的な明示をいただきたいと思います。  以上で終わります。       〔衛生部長畑山善行君登壇〕 ◎衛生部長(畑山善行 君)私たちは、食品安全衛生法に基づいて検査を実施いたします。それと、輸入食品及びすべての食品の流通が認められた時点において、必要に応じて検査を実施いたします。       〔土木部長小川健君登壇〕 ◎土木部長(小川健 君)近々でございますが、年度内ということでお願いします。 ○副議長(森田恒雄 君)次に、柳田清二君。       〔2番柳田清二君登壇〕 ◆2番(柳田清二 君)ただいまより、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。  現在、IT革命という言葉で表現されますように、情報技術がもたらす極めて大きな社会変化が起こりつつあります。株式市場に目を向けてみましても、東証一部は情報関連株が平均株価を引き上げていますし、殊に二部では平均株価がここ2年半の間に3倍の上昇を見ています。また、今までは関連のなかったような企業同士の連携も目立つようになり、その際も情報系の企業が中枢にいるケースが多くなってまいりました。その姿は、まさにIT革命により新たな財閥が形成されていく様相にさえ感じられるわけであります。  構造改革が叫ばれて久しいわけですが、経済は生き物であるといわれますとおり、情報技術は経済構造をある面変革している様子がうかがえます。また、長く低迷を続ける日本経済を情報産業が上向きにしていく期待があり、日々実績をつくっているのが現在の状況ではないでしょうか。  そんなIT革命の時期において、知事は、昨年の6月、長野県総合開発審議会に第2次長野県中期総合計画の策定を諮問され、このほど、「みんなのために 未来のために」を副題とする同計画が発表されました。その中で、四つの時代潮流を示され、情報の時代をうたわれています。時宜を得たものであろうかと思います。  新計画の中で、「信州コミュニケーションネットワーク構築プロジェクト」が示されています。この構想は、県庁や合同庁舎、県民文化会館などを結び、長野県行政情報ネットワークを構築し、地域公共ネットワークといわれる県内自治体や各自治体にある情報センターをつないだネットワークとの融合を図っていくものであります。行政サービスをより身近なものにしていく構想であろうかと思います。  また、第6編の「各地域別の特性と発展方向」も示されていますが、数多くの地域において、先端技術産業という言葉であったり、情報ネットワークという言葉であったり、言葉に違いはありますが、情報化を推進していこうとする姿勢がはっきりと示されています。  そこで、中期総合計画が時代の潮流として示している情報の時代の到来に向けて行政が果たすべき役割をどのように考えていらっしゃるのか、吉村知事にお聞きいたします。  まさに情報の時代を長野県が迎えた今日、日進月歩で技術が進んでいく情報分野において、その可能性に対して企業も個人も大きな期待を寄せています。  そして、空前の繁栄を享受している現在のアメリカも、第1期クリントン政権が目指した情報スーパーハイウエー構想が大きく寄与していることは、言うまでもありません。この情報スーパーハイウエー構想をにしきの御旗として、ゴア氏は大統領選に臨んでいるわけであります。言いかえれば、それだけの価値のある構想でしたし、高い評価がなされているわけであります。  また、クリントン大統領は、先ごろ、サイバーショップといわれるインターネット上のショッピングモールには課税を行わないことを打ち上げました。今後の国際的議論が予想されますが、アメリカの覇権主義がこの分野においても示されたことといえます。  インターネット上でのビジネスは、国や地域の垣根を越えることから、個と個の大競争時代に入ることになります。商社不要論にもつながりますが、これらの動きは日本の隅々まで影響が出ることを意識として持つことが重要であろうかと思います。  今回の私の質問で一番申し上げたいことは、行政サービスをネット上で行うことは情報化という全体像の中ではほんの一部であり、今の社会のニーズは、できるだけ早くにビジネスチャンスとしての価値を高めたい、この一点に限るのだということであります。  そこには、日本の通信コストの高さというものが致命傷として指摘されています。世界の主要都市との比較の中で、東京のインターネットアクセス料はパリに次いで安価な状態でありますが、通話料が高い状態になっています。ニューヨークなどは、通話料は時間制ではなく回数制になっています。例えば、ニューヨーク市内であれば何時間通話をしても同じ料金になっています。つまり、一定時間内の通信コストを比較したとき、相対的にコストが高いということになり、インターネットの使用時間が長ければ長いほど料金格差が生じることになります。  この通信コストは、当然、国際競争力を引き下げることになります。インターネット関係のいかなる意識調査であっても、通信コストの高さが指摘されています。この点については、競争原理の働きにより今後改善がなされていくことになろうかと思いますし、現在も進行中であります。  郵政省では、情報通信インフラについて、民間が主導して推し進めていくべきであるという大前提を踏まえながら、研究開発を支援すべく施策を講じています。一つがギガビットネットワークであり、一つが中央コリドー高速通信実験プロジェクトであります。  一つ目のギガビットネットワークは、通信・放送機構を通じて、近未来の超高速ネットワークの実現に向け、ネットワーク技術や高度アプリケーション技術を初めとする研究開発のための施設であり、全国規模で平成11年から平成15年までの5年間運用を行うこととなっています。研究開発を行おうとする大学、研究機関、行政機関、地方自治体、企業など門戸を広くしています。  もう一つの中央コリドー高速通信実験プロジェクトは、東京、山梨、長野の1都2県にまたがり、光ファイバーから成る高速通信バックボーンと防災行政無線やCATVなどの地域ネットワークをシームレスに接続し、各種マルチメディアアプリケーション実験を行おうとする構想であります。  この二つが組み合わせられると、東京―長野―松本―甲府をめぐるネットワークが構築されるわけであります。もちろん、研究開発型のネットワークですから、ただ単に営利目的に企業が使用できるわけではありません。しかしながら、将来的には、それらの超高速通信網を使って得た実験データをもとに企業活動を行い、IT革命の一翼を担うことになっていきます。特に、ギガビットネットワークにおいては、ATM交換機が長野市に、アクセスポイントが長野、松本にあり、全国的には恵まれた県ともいえようかと思います。  これまで申し上げたことを整理させていただきますと、情報産業においてアメリカが歩んできた道をたどるならば、大きな期待が社会ニーズとして生まれます。現在の日本の通信コストも、競争原理において低下が見込まれます。そして、研究開発型のインフラが長野県は他県に比較し整備されてきたということがいえようかと思います。  郵政省が言うとおり、情報通信インフラに関しては民間主導ということを前提に置いたとき、長野県として何を行っていくべきなのでしょうか。  私は、長野県独自に研究開発型のインフラ整備を行うことが必要であると思います。本来、究極的なマルチメディア社会は、情報の移動時間はなくなります。つまり、中央と地方との格差を是正させる効果がそこにはなくてはなりません。そうなるであろう近い将来、現在の民間の積極的な事業展開は、恐らく我々を満足させてくれるものと思います。しかし、それはユーザーとしての満足度であります。
     前述のとおり、ユーザーは、この情報化の時代にみずからがサービス提供者となり得ます。そのことで経済の活性化が起こるのであれば、県としての潜在的なニーズがあります。そして、それをなし得る最短距離にいるのは、ギガビットネットワークや中央コリドー高速通信実験プロジェクトへ参加している企業といえましょう。  均衡ある県土発展を願う観点からすれば、郵政省が進めるギガビットネットワークのアクセスポイントを、長野市、松本市に加え、南信地方、東信地方へ研究開発型インフラとして整備させることが重要であります。望むべきは、郵政省による研究開発インフラとしてのギガビットネットワークの延長、そしてアクセスポイントの新たな整備でありましょうが、時間も限られている中で、県費であっても積極的に整備を行っていくことが極めて重要になっていると思います。  デジタル・ディバイドという言葉があります。これは、コンピューター機器を使える人と使えない人の所得格差のことであります。アメリカでは、徐々に社会問題化してきました。今の長野県の状態でいきますと、長野市を中心とする北信地方、松本市を中心とする中信地方と比較し、東信地方、南信地方において地域的なデジタル・ディバイドが発生してくることになると思います。  政治・行政の最も配慮すべきは、機会平等を守ることであると私は信じています。そこで、地域的なデジタル・ディバイドを生まないために、県単独で研究開発のためのインフラ整備を行うべきと考えますが、企画局長に所見をお伺いいたします。  次に、コンピューターや情報機器を使いこなせるユーザーをふやす取り組みなどについて関係部長にお聞きいたします。  ユーザーの拡大は、単に行政サービスの円滑な運営ということだけではなく、これからIT革命を経る中で、より多くのユーザーを獲得していくことが、日本社会、そして地域社会にとって不可欠な要素となろうかと思います。  一例を挙げますと、現状において日本のネット上のショッピングモールは不振といわれていますが、アメリカでの成功例では、自動車販売を行うオートバイテル社の場合、月に5万台の販売実績があります。それまでの世界記録は東京トヨペットの6,100台の販売であったそうですから、推して知るべしであります。驚くことに、社員はわずか100人であるそうであります。まさに、ユーザーが多いことによる効果といえましょう。  また、ことし4月から介護保険がスタートしますが、その際、ケアマネジャーが各種施設の情報を得るためのシステムとして、ワムネットが用いられることとなっています。  私は、昨年9月の議会において、すばらしいシステムだと思うが、基本的にマルチメディアの世界では双方向であることが極めて重要であり、その点においてワムネットは現状では一方通行となっていることを指摘させていただきました。  このワムネットも、技術的に双方向とすることの難しさよりも、コスト的な難しさよりも、情報提供を行う方も受ける方もユーザーとしての絶対数が少ないことが、現状で一方通行にしか機能していない主な原因であると推察いたします。  ユーザーを増加させることは、ユーザー自身の利益になることは言うまでもなく、情報を発信する側にむしろ大きな利益が発生することになると考えます。情報を発信するのは、個人であり、企業であり、行政体であります。つまり、情報の時代においては、行政サービスを円滑に行うに当たっても、各種事業を行っていく上においても、ユーザーの絶対数を多くしていく努力を県においても行うべきであると考えます。  そこで、その努力について県は今までどういった施策を通じて行われてきたか、また、今後の方向を企画局長並びにたまたまワムネットを例に引きましたので社会部長にも御所見をお聞きいたします。  また、ユーザー拡大によってネット上でのビジネス機会が広がるものと考えますが、本県の企業にとってどのような可能性が広がるのか、それをどのように支援していくかについて商工部長にお聞きいたします。  信州コミュニケーションネットワーク構想の中の市町村行政情報ネットワークでは、その自治体に合ったネットワーク化を読み取ることができます。長野県の場合、CATVのシステム構築が進んでおり、全国で2番目に利用者が多い地域となっていることから、それらもネットの中に入ってこようかと思います。しかしながら、CATVを持たないことから、そのための有線を敷設していない地域も多くあります。イントラネットなど、地域に合った方法で地域ごとに情報化が進んでいこうかと思われます。  また、それらを全県のネット化に組み入れることを前提にすれば、出先機関である地方事務所に担当のセクションを設けることが重要だと思われます。がしかし、現状において、県の情報化に関して担当をしている職員が地方事務所には配置されていませんし、対応もできない状態であります。何回かの講習などを行ったりすることで県の意思をきめ細かに伝達する能力を地方事務所が有するべきであろうかと思いますし、それが実行に移されなければ円滑なネットワーク構築は難しいのではないでしょうか。  そこで、地域に合ったネットワークを構築するために、各地方事務所に情報化の担当職員を設置するお考えがありますでしょうか、企画局長にお聞きいたします。  以上が1回目の質問のすべてであります。御答弁のほど、よろしくお願いいたします。       〔知事吉村午良君登壇〕 ◎知事(吉村午良 君)情報化につきまして種々お話がございました。私から、行政の果たすべき役割についての御質問でございますので、お答えを申し上げます。  今や情報化の時代を迎えておるわけでございまして、情報通信ネットワークの拡大によりまして、いつでも、どこでも、だれでも多様な情報を短時間でやりとりすることが容易になり、距離や時間という要因に制約されない生活や仕事を可能とし、人々の生活の利便性を向上させるものと期待されておるわけでございます。  このような時代の潮流に、民間、市町村、国、そして県がそれぞれの立場で柔軟に対応していかなければならないというふうに認識をいたしております。  まず、高度情報通信社会の重要な基盤となる光ファイバー網につきましては、民間主導で進められるべきであるという国の方針に沿い、NTTを初めとした第一種電気通信事業者によって2005年の全国整備に向けて整備が進められておるわけでございますし、また、インターネットは商業利用開始以来わずか5年で世帯普及率が10%を超え、今後、さまざまな分野でその活用が期待されておるわけでございます。  さらに、県内の各地域におきまして、CATV回線や有線放送電話等を活用した遠隔福祉、遠隔医療など、さまざまな先進的な取り組みが行われております。特に、県内のCATVにおきましては、自主放送のみならず、双方向性を生かした通信サービスなど、将来を見据えた新たな事業展開が図られております。  このような高度情報通信社会の構築に向けましての取り組みは、何よりも民間の活力ということが一番大事でございますけれども、行政も、これを補完する立場から、公的な分野におきます先導的な情報化の推進、民間におきます情報化への取り組みを促進する環境づくりなどを積極的に進めていく必要があろうかと、このように思っております。  そこで、県といたしましては、従来、パソコンや庁内LANを順次整備することによる行政の情報化、ホームページによる行政情報の発信、情報活用能力向上のための公開端末や学校における情報機器の設置、長野県高度情報化研究協議会を通じた調査研究等々、さまざまな施策を行っているところでございます。  今後は、これらの施策を充実させますとともに、信州コミュニケーションネットワークの構築を目指しまして、一人1台を目標としたパソコンの整備、県庁と出先機関とのネットワーク化、県と市町村とのネットワーク化、こういったことを行ってまいるつもりでございます。  いずれにしましても、非常に大事なことでございますので、県民生活の利便性の向上を図っていくことを通じまして本県の情報化の一層の推進を図ってまいりたいと、このように考えております。       〔企画局長青木輝政君登壇〕 ◎企画局長(青木輝政 君)初めに、研究開発目的のインフラ整備についての御質問でございます。  御質問の中にございましたギガビットネットワークにつきましては、郵政省が本年度から平成15年度まで、研究開発目的で、大学、研究機関、地方自治体、企業等に無料で開放する超高速ネットワークでございまして、県内におきましても、長野市と仙台市による地域映像の共有利用実験、信州大学による地域ネットを核とした産官学技術移転に関する研究など、幾つかのプロジェクトが実施されているところでございます。これらの実験は、次世代の超高速ネットワーク技術や高度なアプリケーションの開発など、最先端の高度な研究開発のためのものであります。  一方、現在の情報化の取り組みは、インターネット技術や地域の身近な公共ネットワークを利用して、在宅福祉や健康管理の支援、電子マネー等による商店街の活性化、図書館の蔵書検索など相当の成果を上げているところであり、現段階ではギガビットネットワークへのアクセス環境の悪さが直接に地域ごとの情報格差をもたらしているとは認識しておりません。このため、今のところ、県単独で研究開発用のインフラ整備を行う予定はございません。  しかしながら、将来的には、高度な情報サービスの実用化が進み、高速・大容量の回線が必要となることが予想されることから、地域の要望状況を踏まえつつ、国にアクセスポイントの増設や足回り回線に係る費用に対する支援制度の充実を求めるとともに、CATV施設整備への助成や事業者へのインフラ整備の働きかけを積極的に行ってまいりたいと考えております。  次に、ユーザーの拡大策についてでございます。  高度情報通信社会においては、ネットワークを通じてさまざまなサービスを受けたり、欲しい情報を得るため、情報通信機器に触れる機会が多くなります。  御指摘の情報端末を操作できるユーザーの拡大につきましては、官民それぞれの立場から取り組むべき課題でありますが、県といたしましては、だれもが情報化の恩恵を享受できる環境づくりという観点から、県民の情報リテラシー、いわゆる情報活用能力あるいは情報機器を利用する能力の向上を図るため、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。  まず、来るべき21世紀の高度情報通信社会の担い手となる子供たちの情報活用能力を高めるため、学校にパソコンを配備し、インターネットやマルチメディアを利用した教育を実施できる環境の整備や、コンピューターが操作できる教員の養成を進めております。  また、学校開放講座における県民へのインターネットやパソコン等の学習機会の提供、県障害者福祉センターにおける障害者向けパソコン講習会等の実施、国や民間企業との連携による新世代情報通信フェアの開催などを行っております。  今後は、引き続きこれらの施策を進めるとともに、「信州コミュニケーションネットワーク構築プロジェクト」の一環といたしまして、各地の県機関に公開端末を設置し、県民が各種サービスを受けられるとともに、身近にマルチメディアを体験できる県民情報プラザの整備を行います。この公開端末には、だれでも簡単に操作できるタッチパネル等の導入を検討しております。  このほか、子ども未来センターにおける情報通信機器の活用を検討するなど、適宜適切な事業の実施により、情報リテラシーの向上を通じてユーザーの拡大につなげてまいりたいと考えております。  最後に、地方事務所への情報化担当職員の配置に関する御質問でございます。  県では、今年度から、企画局に情報政策課を設置いたしまして、高度情報化への対応に積極的に取り組んでいくこととしており、県内各地域におけるそれぞれの実情に沿ったネットワークの構築や支援制度の活用等の具体的な事項について、関係部局及び地方事務所と連携して市町村等との情報交換などを行っているところであります。  今後、情報化研修の実施などにより職員の知識の涵養に努めるとともに、行政情報ネットワークを有効に活用し、県庁と出先機関とが連携を強化して一層円滑な対応を図りつつ、地方事務所における担当職員の必要性については今後検討してまいりたいと考えております。  以上です。       〔社会部長上原芳晴君登壇〕 ◎社会部長(上原芳晴 君)お答えいたします。  介護保険事業者の情報を提供するワムネットのユーザー拡大についてでございますが、この情報システムは、県から指定事業者情報を提供するほか、事業者自身からもサービスの空き情報や施設の特色などのPRも提供するものでございまして、利用者のサービス選択や介護サービス計画を作成するケアマネジャーの情報源となるものでございます。  御指摘のとおり、この情報システムが有効に機能するためには、多くの指定事業者が利用機関となり、みずから積極的に情報提供することが重要でございますので、県におきましては、事業者指定の通知にあわせましてシステムのパンフレットや登録申込書を送付するとともに、昨年11月とことし2月に開催した事業者説明会の中でも登録の促進を図ってきたところでございます。その結果、本県の利用機関数は、2月25日現在、全国で6番目となっておりますが、今後ともあらゆる機会をとらえ周知徹底を図ってまいりたいと考えております。  多くの事業者が利用機関となり、情報内容が充実することにより、さらにユーザー拡大が図られ、ひいては介護保険制度の円滑な運営につながると、このように考えているところでございます。       〔商工部長木船智二君登壇〕 ◎商工部長(木船智二 君)お答えいたします。  ネットビジネスについてのお尋ねでございますが、インターネットによるビジネスは立地条件に左右されず、利用者にとっては欲しい情報や商品が、世界的規模で、どこでも、だれでも簡単に入手することができます。  本県は、伝統工芸品や食品などの特産品も数多くあり、独自のすぐれた製品や技術を持った企業が多数集積しておりますので、インターネットのグローバル性、オープン性、簡易性等の特性を有効に活用することにより、工夫次第で、新たな取引先を開拓し、ビジネス機会を飛躍的に拡大できる可能性があります。  既に県下では、インターネットを利用して、海外に向けて日本文化の紹介や長野ならではの商品を販売するグループ、ホテル、旅館等の紹介や宿泊予約を共同で行っている地域、部品受発注の図面データを送受信する協業システムを構築した企業など、先進的な取り組みも始まっております。  しかし、全体的には、中小企業のインターネットの利用は、大企業に比べまだまだおくれている状況にあります。  そこで、県といたしましては、中小企業向けのインターネット接続サービスや情報化アドバイザーの派遣、ホームページの作成セミナーやインターネット活用研修会を開催し、中小企業者への支援を行ってきたところであります。  また、12年度においては、企業の業態に合った商取引を電子化するモデル事業を新たに実施し、その成果の普及を図るなど、中小企業者の情報化の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。       〔2番柳田清二君登壇〕 ◆2番(柳田清二 君)それぞれ御答弁いただきまして、まことにありがとうございました。  吉村知事の、いつでも、どこでも、だれでも手軽に使えるようになる、それが情報化の時代なんだと、こういうお話でございました。一方、企画局長の方からは、どこでも使えるものでありながら、情報に関する県独自のインフラ整備は行わないという御答弁でございました。  今、実際に長野市、松本市にアクセスポイントがあるわけですけれども、その二つの都市にあるということは、その周辺のコンピューター関係の会社はいいでしょう。ギガビットネットワークの非常に大きな点というのは、民間の企業が参加している点、それと平成15年までで切るという、この二つのことが大きなことだと思います。平成15年以降どうなってくるかといったら、今まで無料で郵政省が提供していたものが、恐らく低価格でこれが――今までは研究開発型のインフラでしたけれども、いずれは企業活動に使えるインフラになる可能性がかなり高いと思います。そういう意味で、これがそうなった場合は、長野市周辺、松本市周辺の企業は即それが企業活動に使えるわけでございます。  そうなったときに、このビジネスが成功するというのは、どれだけ早くその参入ができるかということにかかっていようかと思います。その点において、東信地方、南信地方の方々は機会平等が満たされていないというふうに私は考えます。実際には、どこでも、だれでもというふうに言っても、自分がサービスを提供する側としたときには、結果的に、資本の大きなところ、大都市の中心のところの企業しかそれに参入していくことがかなり難しくなってくると思います。その見解について企画局長さんにお聞きいたします。       〔企画局長青木輝政君登壇〕 ◎企画局長(青木輝政 君)お答えいたします。  東信及び南信に研究開発用のインフラ整備ができていないということでございますが、現在ギガビットを利用しているものは先ほど挙げたわけですが、このほかNISAという組織が民間の企業でありまして、この方々がそれぞれ集まってやっておるわけですが、これはギガビットネットワークを直接利用してはおりませんけれども、5年後にどうなるかという研究をしておりまして、実際に県で研究開発用のインフラ整備を今やれという要望等もございませんし、5年後には民間活力を活用して行うという国の方針にのっとっていくということで、もし必要になれば、先ほど答弁したように国に働きかけてまいりたいと、こう思います。       〔2番柳田清二君登壇〕 ◆2番(柳田清二 君)今、東信地方のお話がございましたけれども、南信地方が取り残されてしまいました。そういう意味で均衡あるものを図ってまいりたいと思いますし、御努力のほどをお願い申し上げて私の質問とします。  ありがとうございました。 ○副議長(森田恒雄 君)次に、中村善行君。       〔42番中村善行君登壇〕 ◆42番(中村善行 君)御指名がございましたので、県政会のトップバッターといたしまして関係部長にお伺いをしてまいりたいと思います。  この秋、任期満了を迎えます吉村知事、20年という長きにわたり、すばらしい世界のNAGANOとして発展を遂げてきたのであります。西沢県政からのバトンタッチの中での思いは、まさに一朝一夕に語ることはできないとは思いますが、知事の脳裏をめぐる思いは数あれど、この2月県議会において、どうしてもこれだけは県民に知らしめておきたい胸もあろうかと思うのであります。  戦後50年が経過して、ようやく待ちに待った地方分権一括法が成立し、国と地方自治体が対等な関係になりました。明治政府以来の中央集権体制から、一応形式上は脱皮をすることになったのであります。多くの問題はあるにせよ、戦後の大改革であったことに変わりはないのであります。いよいよ、これからが自治体の真価が問われるのであります。全国3,300の自治体の自主性を出しての資質が問われる時代が来たのであります。  私はいつも、国に政府機能がありますように、長野県としての地方自治体にも政府機能があってもいいのではなかろうかと、このように思っておりました。  今までは、何でも行政がやる、はしの上げ下げまで行政が口を出し、有権者の自立と自己決定、自己責任を阻害してまいりました。今日の日本の閉塞感や虚脱感、不景気を取り除くには、決定権限をもっと地方に、そしてもっと個人に渡していかなければならないと思うのであります。今こそ、地方分権、もう一歩進んで地方主権といえるような社会を目指していくべきであると思うのであります。そのようなことを基本に据えて、順次、関係部長にお尋ねをしてまいりたいと思います。  質問に入ります。  平成3年6月県議会、諏訪市選出の金子松樹議員の方から、オリンピック記念・長野県版ふるさと創生事業を提案されました。こういう調子でありました。「知事、よかったなぇ、いよいよオリンピックが長野に決まったじゃねえか。長野に決まった瞬間を見ていて、やっぱりジーンとくるものがあったぞや」、こんな金子節であったわけであります。どういうことかといいますと、県内121市町村に対しまして、オリンピックの1998年を目指して1,998万円ずつ交付したらどうかという提案であったわけであります。まさに、長野県版ふるさと創生論であったわけであります。  その後、私も平成7年12月定例会において、オリンピック記念・ふるさと創生の種を交付金という形でまいてほしい、そしてオリンピックを盛り上げてほしいという質問をさせていただきました。非常にユニークな質問であるという答弁はありましたが、このことは実現を見なかったわけであります。  県下の各市町村は、着実にいろいろな個性ある地域づくりを達成しているのであります。そこで、長野県内各市町村の地域づくり支援策のハードからソフトへの転換についてお伺いいたしたいと思います。  県の平成12年度予算は、厳しい財政状況を背景として緊縮型財政を余儀なくされる中で、県単独事業が2割近く削減される一方において、昨年度の1.5倍に当たる138件もの新規事業が盛り込まれているのであります。  吉村知事がハードからソフトへの転換を強調されているように、まさに時代の潮流はソフト事業へのシフトではないかと考えられるのであります。  御案内のように、自主的・主体的な地域づくりの機運は、昭和63年から始まりました。竹下内閣のふるさと創生施策、いわゆる1億円施策を契機としたものであります。  この1億円の使い道について、県内市町村においては、英知と知恵を出しながら380以上の事業が県内で行われたようであります。その中で多かったのが当時の地域活性化の起爆剤として期待されていた温泉掘削であり、県内の36市町村において、1億円の全部または一部を利用して掘削や探査が行われたのであります。  そして、この1億円施策によって芽生えた地域づくりの機運は、交付税措置のある有利な起債でありますところの地域総合整備事業債を積極的に利用して、そのときだけでなく、永続的な取り組みとなって今日に至っているのであります。この間、県内市町村において地域総合整備事業債は4,000億円を超えて利用され、全国的に見ましても北海道に次ぐトップ水準を維持していると聞いているところであります。  こうして、この10年余の間、県内市町村においては自主的・主体的な目玉となる地域づくりが進められ、特色のある博物館、文化ホール、温泉施設などの整備が着実に進んできているところであります。  しかし、こうして施設整備が急速に進められた結果、近年におきましては、いろいろの課題が出てきていることに留意しなければなりません。  まず一つとしては、近隣市町村において類似施設が整備され、それらが競合することになり、結果として利用者が競合して伸び悩みが心配されるところであります。  具体的に、県内市町村の温泉施設は、昨年12月末現在で82市町村167施設となっております。平成10年から11年の2年間でなお17カ所増加しており、温泉施設開発ブームは今も続いているのであります。しかし、1施設当たり利用者数の動きを見れば、平成6年の6万 2,000人から10年には5万9,000人と頭打ちとなっているのであります。要するに、次々と新しい施設ができることによって、利用者の奪い合いとなっているのが現実であろうと思われるわけであります。  こうした近隣施設との競合による利用者の頭打ち傾向は、客の引っぱり合いによる施設利用収入の減少をもたらし、結果として各市町村の財政負担を増大させるものと懸念されるのであります。  市町村では、財源の柱をなしている地方交付税が減少するのではないかと見込まれる一方で、今後、地方債償還費がふえることが予想されることから、限られた財源の重点配分と経費支出の一層の効率化を進めなければならない状況に直面しておるのであります。  これからの地域振興策は、従来のハード建設自体を目的とするような箱物行政を見直して、ソフト施策に転換していくべきではないでしょうか。仏つくって魂入れず――立派な施設をつくったとしても、魂であるソフトがなければ単なる箱にすぎないのであります。魂であるソフトづくりこそ重要であると思うのであります。  そこで、真に個性豊かで活力のある地域の形成を目指して、市町村の地域づくり施策をハード事業からソフト事業に転換させるため、県としてどのような支援策を講じていくお考えであるか、総務部長にお伺いいたします。  次に、長野県という自治体には目指すべき理念、基本政策などを定めたものが必要であることは当然のことでありますが、私は、長野県民がそれぞれ違った方向を向いて県勢の発展を目指しても何の効果も上がらないと考えている一人であります。今日のような激動の時代だからこそ、同じ目標に向かって邁進することが大切であり、そのためには、理念、政策について長野県民意識の喚起を図ることが重要と考えるものであります。  そこで、長野県の県づくりの理念、基本政策を条例化し、現在、未来の県民の道しるべとすることも一策と考えるわけでありますが、企画局長の見解をお伺いいたします。  次に、昨今の複雑多岐にわたる行政課題や自治体の国際化に対応するためには、国の国法の執行をやっていればよいという時代から、地方から発信をしなくてはなりません。介護保険に代表されるように、国のやることは絶対ということではないのであります。長野県も、みずからの意思を持ち、国から自立すべきであります。長野県と国との関係は、まさに政府対政府でなければならないのであります。  次に、自治体政府の外交権限についてでありますが、自治体政府の外交は、国と本質的に違うにしましても、国の外交権限に絶対に拘束されないと私は思うのであります。  次に、税収のあり方についてお伺いいたします。  長野県独自の利用料金や税などが工夫・検討されていると思いますが、東京都の石原知事は、石原税ともいわれておりますが、銀行に対して外形標準課税の導入を図るよう都議会に条例を提出しました。戦後の右肩上がりの経済成長の中、税収が潤沢な時代にはだれも考えなかった課税というものにも目を向け、公平な負担を考えていくことは、自治体政府として当然の権利であり義務であろうと考えるものであります。  地方分権一括法が成立をし、法定外目的税が創設され、法定外普通税の要件も緩和され、許可から協議へと大きく変わりました。憶することなく、遠慮することなく積極的に地方税制のあり方を考え、積極的に課税自主権を行使するなど県の財源確保を図るべきと考えますが、総務部長の所見をお伺いいたします。  次に、総合補助金制度について要望いたします。  昨年再選されたわけでございますが、「高知県・橋本大二郎知事の苦悩」と題しての記事が載っておりました。内容は、市町村の補助金をすべて箇所づけでやるのではなく、それぞれの市町村が自由に使えるように出せないかというものであります。
     県の課によっては、国の補助金と県の市町村への補助金の請負や下請のための事務に大半の職員を費やしているとのことであります。また、市町村も、補助金をもらうために、補助制度を丹念に調べ上げ、陳情を繰り返しながら対応を図っていることもあると思います。  そこで、この際、それぞれの事業の内容を拘束しないで自由に使うことのできるような体制づくりはできないでありましょうか。形式的には、後で報告するなり何らかの歯どめは必要とは思いますが、総合補助金制度の導入につきまして前向きに検討されますことを強く要望するものであります。  次に、わかりやすい財務内容の開示についてお伺いいたします。  財務内容、つまり財政をより身近にわかりやすく開示することは、時代の流れであります。日常使われているディスクロージャーという用語は、まさに組織の財務内容を包括的にわかりやすく表現・開示することであります。いわゆる情報開示であります。  そこで私は、県の財務内容をわかりやすく表現する手段として、バランスシートの導入を図るべきではないかと思うのであります。  特に、これからは地方自治体の格付ランキングの時代が来るといわれている中におきまして、地方債の大量発行という全国的な状況のもと、一般会計県債残高1兆6,000億円余を有する本県において、では一体資産はどのように形成されてきたのか、今、資本と債務はどのようになっているのかなど、財務の内容を広く県民によりわかりやすく知らしめ、加えて地方債投資家の厳しいプロの目にたえ得る財産運営を行うためには、バランスシートの導入が不可欠なものと考えるのであります。  県当局が適宜適切に行っている財務情報の公開をさらに一歩前進させる意味からも、また時代要請の観点からも、県全体の会計を包括的に連結したバランスシートの導入も必要だと思うのであります。  今後の財政を考えるとき、経営感覚という視点が不可欠であります。昨今、地方公共団体でバランスシート作成の動きがあり、東京都、神奈川県、宮城県、三重県などで公表されていると聞いているところであります。相当数の都道府県が導入を検討しているとも伺っているところであります。  バランスシートの作成につきましては、現行法で義務づけられていないので統一的な作業基準がないこと、初めて作成する場合、相当の作業量になること、作成したり利用できる人材の確保が必要なことなどの問題がありますが、メリットもあります。  メリットの第1は、自治体の資産と負債が一目でわかることです。  現在の地方自治体の会計、いわゆる公会計では収入と支出の概念しかなく、資産と負債とを一覧できるものがありません。公会計では借金でも収入として処理されますが、バランスシートでは借金は収入ではなく負債として残高計上されるのであります。このようにすると、県始まって以来の行政活動の結果としてのストック情報が表示されることになるのであります。  公会計では、予算主義という制度上、フローの情報に力点が置かれておりますが、行政は長期的展望のもとに運営されているのでありまして、常にその現在位置を把握している必要があるのであります。しかし、バランスシートにより、それが可能となります。例えば、借金までして何に投資をしてきたかとよくいわれますが、行政はどのような道筋を歩み、その結果どのような状態になったかを財政的に確認し、県民にも開示が可能となるのであります。  第2は、事務事業の真のコストが把握できる発生主義という会計手法によって作成されることであります。  発生主義によりますと、減価償却費や退職給与引当金繰入額という現金の支出を伴わない費用も計上されるのであります。事業遂行のため必要な設備を自前で購入した場合、公会計では購入年度しか費用として処理されませんが、同じものをリースによって調達した場合、リース期間にわたって費用処理されることになるのであります。  以上のように、公会計は、単に予算額などで事業のコストを計算するので、金額が異なってしまうという欠点があります。自治体におきましても、事業とサービス提供に要したコストは幾らなのか、正しい金額を把握することが可能となります。  第3は、石原東京都知事が目指した売却可能資産を把握することですが、それは可能ですので、このことは副次的な機能であります。  第4は、病院、公社など第三セクターを取り込んだ長野県全体としてのバランスシートをつくるためにも、自治体そのもののバランスシートが必要であります。財政状態を見るためには、連結ベース会計処理が役立つのであろうと思うのであります。  第5は、地方債が許可制から協議制に変わることが予定されておるわけでありますが、その場合、公募による地方債の発行も想定されますので、投資家に対してもバランスシートという基礎情報を示す必要のある時代が、遠くない将来、来るであろうということが想定されるからであります。  以上、バランスシートの導入について申し上げましたが、財政再建のためには大変有効な手段になるのではないかと考えますが、総務部長の御見解をお伺いいたします。  次に、行政改革について若干触れてみます。  「善行さ、1兆円の予算ってすごいね。だって1万分の1でも1億円だものね」――私の地元のある商工会議所の会頭が言われました。「私ども中小企業者では考えられない数字であり、それだけに知事の権限はすごいね」と言っておられました。  今、IT産業とか一部の企業を除きまして、業績の上方修正に向かう企業は、いかにリストラクチャリングをするか、大きなテーマであります。  長野県においても、人員の削減、部課の統合を初め、知恵と勇気で頑張っておられるのであります。しかしながら、本県では行革を専門に行う部署がないのであります。幾つもの障害を乗り越えて行革を実現するには、既存の組織が担当するのではなく、行政改革について大胆な発想から企画・立案を行い推進する、知事直轄の行政改革推進室のような組織を設けるべきだと考えるのであります。  この行政改革推進室の提案を受けて知事がトップダウンにより行革を断行していく、このような行革の推進体制を整備する必要があると考えますが、総務部長にお伺いいたします。  また、関連して、こうした職員の意欲的・建設的な政策提言をしっかりと吸い上げて、よいものは積極的に採用していく体制をつくっていかなければなりません。  長野県職員の政策提言や仕事の能率アップ、経費の節減など、県行政発展のために職員の提言を大いに取り入れることが大切であろうと思うのでありますが、本県における政策提言制度の現状はどのようになっているのでしょうか。これまでの提案と政策への実現状況はどうか、さらに今後のあり方について総務部長にお伺いいたします。  次に、男女共同参画社会の形成に向けての取り組みについて社会部長にお伺いいたします。  男女平等は、日本国憲法に法のもとに平等とうたわれ、さらに、男女共同参画社会基本法の制定、男女雇用機会均等法の改正など法制上はさまざまに具体化しておりますが、まだ十分とはいえない状況にあります。  平和な21世紀社会の形成に向け、個人の尊厳と男女の真の平等を基礎として、あらゆる分野における活動に男女が対等に共同して参画することのできる男女共同参画社会の実現が必要であります。男は仕事、女は家事という時代は終わったのであります。この件については、望月議員の関連質問の中で答弁がなされたところであります。  さて、思い起こせば、今から9年前の6月定例議会におきまして、私は、初登壇の折、県では婦人室を中心に活動されておりましたが、婦人室でなく女性室とすべきではないかなどと提案させていただきました。婦人から女性に名称を変更したらどうかという提案でありました。  県では、副知事を会長とする長野県女性行政推進協議会を昭和52年に設置し、全庁的な体制をとって女性施策や男女共同参画社会に向けての取り組みに当たっておりますが、現会長であります池田副知事のリーダーシップのもと、審議会等における女性委員の登用率の大幅な上昇や地域女性コミュニケーターの設置など、最近、特にその充実が見られるところであります。  9年前の私の質問によりますと、県における政策・方針を決定するに当たり広く有識者の意見を聴取する審議会において、女性委員の登用率は13.3%でありました。しかしながら、今日の長野県の女性委員の登用率は昨年3月末現在で27.8%になっておるわけでありまして、いかにこの間、着実に女性の地位の向上が図られたか、審議会だけを見ても理解されるところであります。  このほか、長野県としての男女共同参画社会形成の取り組み経過を見てみますと、平成8年、「男女共同参画社会の形成をめざして」を基本目標とする第4次女性行動計画「信州女性プラン21」の策定と推進、同プランに位置づけられた地域女性コミュニケーターの設置と活躍、平成9年、女性室を独立した女性課とし体制の強化、平成11年、男女共同参画社会基本法の施行を受けて、市町村長、企業経営者等の意識啓発を図ることを目的に「男女共同参画社会づくりトップシンポジウム」を開催などが挙げられます。  なお、このトップシンポジウムには、女性行政推進協議会会長としての池田副知事のほか、男女共同参画宣言都市市長として塩尻市の三沢市長もパネリストとして出席し、お集まりいただきました市町村長や企業経営者の意識啓発に寄与されたと聞いているところであります。  今思えば、この9年間で女性が社会進出する施策は大きく変化をし、強力に前進を見ているのであります。  そこで私は、さらなる施策の充実に向けて、政策展開の根拠を法律のみに求めるのではなく、実効性のある具体的な住民や地域の視点に立った条例を置くことにより、長野県として地方分権型の行政システムに合致した政策推進を図ることが必要であろうと考えるのであります。  男女共同参画社会基本法第9条では、「地方公共団体は、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と規定しているところであります。この中には、県として条例をつくり上げながら、県としての姿勢を示すことも含まれるのではないかと思うのであります。  全国的な動きを見てみますと、埼玉県や東京都ではこの3月議会におきまして条例案を提案し、そのほか三重県、山口県なども県条例を急いでいると聞いているところであります。  私の住んでおります塩尻市では、この3月議会におきまして、全国で2番目の市町村として条例制定に向けて進んでいると聞いているところであります。  オリンピック・パラリンピックが成功し、世界のNAGANOから男女共同参画社会づくりに向けて積極策を打ち出すべきと思いますが、条例制定に向けてのお考えをお伺いいたします。  次に、県では、男女共同参画社会基本法に基づいて、来年度、男女共同参画計画を策定するということでありますが、県民の意見を十分お聞きし、県の実情に応じた長野県らしい計画になることを望んでやまない次第であります。  そこで、この計画の策定に当たって、県民の意見の聴取や計画案の公表等についてどのようにしていくお考えか、お伺いいたします。  最後に、昨年の厚生省の出されたポスターは「育児をしない男を、父とは呼ばない」であります。  以上で第1回目の質問を終わります。       〔総務部長花岡勝明君登壇〕 ◎総務部長(花岡勝明 君)順次お答えを申し上げます。  最初に、市町村の地域づくりについての支援ということでございます。  お話にありましたように、県内各市町村においては、近年、地域活性化ということで中核的施設整備が大いに進んだわけでございます。これからは、その施設を本当に有効に活用できるのかということが大きなポイントになろうという意味で、ソフト施策の充実が大切ではないかというふうに思っております。  そこで、県では、平成9年度から毎年度2回、文化ホール、博物館、美術館など施設ごとに、効果的なPR方法や魅力的なサービス方法などを研修テーマといたしまして公営施設運営セミナーを開催してきております。本年度は、市町村営のスキー場と温泉施設を対象として実施いたしました。  また、過疎市町村などが地域活性化のために実施するソフトプロジェクトに対しまして平成10年度から県単独の助成をしておりまして、この2年間で21の事業に対して助成をいたしたところでございます。  さらに、地方事務所ごとには、ふるさと信州デザイン事業というふうな形で、小冊子やパンフレットの発行などPR事業を積極的に推進いたしております。  県といたしましては、今後とも市町村の元気あふれる地域づくりを積極的に支援していきたいと、このように思っております。  次に、課税自主権についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、地方における財源は歳出規模と地方税収入が大きく乖離しているというのが実態でありまして、地方分権を実質的に担保するための税財源の確保ということが長年の願いであるわけでございます。  このような問題に対しまして、先ごろから問題になっております法人事業税への外形標準課税の導入――知事からも答弁したとおりでありまして、一定の動きが出ているものでございます。  さらにまた、地方団体の課税自主権を尊重していくという観点から、分権一括法において、新たに法定外目的税の創設というふうなことも決められているわけでございます。  県といたしましては、市町村とともに、新しい税目について何かないかというふうなことで、長野県税政研究会という場で昨年来研究をしておりますが、新たな税の創設となりますと、課税客体に十分な担税力があるか、あるいは税収入に比べて徴税費が割高にならないか等さまざまな課題がございまして、ただいまのところ、独自の税源として適当なものが見つかっていないというのが現状でございます。  しかしながら、今後、税財源の充実ということでやっていかなければなりませんので、一層研究を進めていきたいと思っているところでございます。  次に、バランスシートの導入という関係でございます。  お話にありましたように、民間におけるバランスシート、企業会計のものでありますが、これを県財政にも持ち込んで財政状況の把握をしたらどうかと、こういうふうな視点でございます。既に幾つかの県でそのような試行が行われておりますが、バランスシートの作成基準が全国的に統一されておらず、したがって一定の評価をしてもそれぞれまちまちの姿であり、必ずしも十分でないというのが現状かと、こんなふうに思っております。  そうした中で、現在、自治省におきましてバランスシートの作成手法に関する研究が行われておりまして、今年度末には中間報告が出るということになっております。したがいまして、そういう状況も踏まえながら、県としてはこの新しい財政分析の手法について検討を進めていきたいと、このように考えております。  次に、行政改革に関連して、行政改革推進室のような新しい組織をつくったらどうかということでございます。  御案内のとおり、今日まで、地方事務所の統合、保健所の統合、そしてまた行革大綱によりまして500人の削減というふうなことで、4次にわたる改革が行われているわけでございますが、総務部人事課が行革の窓口ということで現在まで機能しているものでございます。  行政改革を行っていくためには、単に一つの部署でやっていくということではもちろんないわけで、全庁挙げての課題になりますことから、副知事を委員長としての行政管理検討委員会というのを置いておりまして、ここで十分な意見統一を図りながら進めてきたものでございます。本年度におきましても、新たな行革大綱に沿いまして、公社等外郭団体の見直しを行うなど、積極的な活動をしているものでございます。  したがって、新しく室を設けたらということでございますが、現在の体制によりまして引き続き行政改革の実を上げるよう努めていきたいと、こんなふうに思っているものでございます。  最後に、職員の提案制度についてのお尋ねでございます。  昭和36年以来、県でも職員の提案制度というのは採用いたしておりまして、この間、幾つか職員からの提案をいただき、それを実施したものもございます。最近では、平成10年度におきまして、行革大綱をつくります上で職員にいろいろ意見を求めたということで270件の提案をいただきました。  いろいろございますけれども、具体的な中身としては、事務の効率化では、旅費計算や給与事務のOA化というふうな提案、また事務の簡素化という点では、辞令交付の変更や年賀状の廃止というふうな提案、さらに経費の削減では、広報誌「ながのけん」が御家庭に配られておりますが、ホチキスどめをしていたんですけれども、その必要がないんじゃないかというふうな提案などがございまして、それぞれ実施に移したものもございますし、実施に向けてただいま準備をしているものもございます。  また、本年度は中期総合計画の策定という年でございましたので、政策提言を職員にお願いしましたところ、環境や医療・福祉など幅広い分野にわたりまして67件の政策提言がございまして、幾つか中期総合計画の中にも反映しているものでございます。  今後のあり方につきましては、窓口事務の改善や事務処理のマニュアル化など取り組むべき課題が数多くございますので、職員の知恵と工夫を反映できるように職員提案制度の一層の活用を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔企画局長青木輝政君登壇〕 ◎企画局長(青木輝政 君)県づくりの理念、基本政策の条例化という御提案でございますが、県政の推進に当たりまして、県づくりの理念やそれを実現していくための政策の体系化が必要なことは、お話にもありましたとおりでございます。  本県の場合には、平成7年に2010年長野県長期構想を策定し、「地球時代の知恵のくに」を目指す姿とし、「交流・共生・創造」を基本理念に、「美しい信州」「一人ひとりが輝く信州」「安心とゆとりの信州」など六つの柱、すなわち基本政策で県づくりを進めることとしております。  また、これを具体化するため、「変革と知恵の時代」「情報の時代」など四つの時代の潮流と、豊かな環境や健康長寿など五つの「未来につなぐ長野県らしさ」を踏まえ、「みんなのために 未来のために」を基本目標とした第2次中期総合計画をこのたび策定したところでございます。  このような県づくりの方向性につきましては、常に変化する時代の潮流や県民ニーズを的確にとらえることが前提であり、本県におきましても、時代の節目節目で、新たな理念等を掲げた長期構想と、これを踏まえたいわゆる5カ年計画を策定してきたところでございます。  したがいまして、このような構想や計画などで今後も時代にふさわしいビジョンをお示しするとともに、県民の皆さんに一層御理解をいただけるよう効果的な広報活動に努めることにより、議員御提案の趣旨を生かしてまいりたいと考えております。       〔社会部長上原芳晴君登壇〕 ◎社会部長(上原芳晴 君)男女共同参画についてのお尋ねでございます。  本県におきましては、4次にわたる女性行動計画によりまして、意識啓発や審議会等への女性委員の登用促進など施策の推進を図ってきたところでございます。  来年度は、まず、男女共同参画社会基本法に基づく男女共同参画計画を策定し、積極的・総合的な施策の推進を図ってまいりたいと考えております。  お話のございました条例につきましては、大変大きな御提言と受けとめさせていただきますが、今まで行政と県女性問題県民会議など民間が一体となって県民運動を展開してまいりました実績などを踏まえ、今後の取り組みを進める中で研究してまいりたいと考えております。  次に、男女共同参画計画の策定に当たりましては、策定委員会である男女共同参画推進委員会や地域女性コミュニケーターのワーキンググループなどを設けますほか、女性問題懇話会の開催などによりまして、さまざまな意見をお聞きしてまいりたいと考えております。  また、男女を問わず広く県民の皆さんから意見をお聞きしたいと思っておりまして、県の広報媒体あるいはインターネットを活用して計画への意見・提言を募集いたしますほか、策定作業の中間時点において計画の基本的視点を公表するなど、必要に応じて計画案について県民の皆さんにお知らせしてまいりたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。       〔42番中村善行君登壇〕 ◆42番(中村善行 君)それぞれ答弁をいただきました。  県づくりの基本理念等につきまして企画局長からお話があったわけでありますが、「地球時代の知恵のくに」あるいは「みんなのために 未来のために」、わからないわけではないわけでありますが、例えば長野県には「信濃の国」というすばらしい県歌があるわけであります。また、長野県のシンボルとして、県木はシラカバ、県花はリンドウ、県鳥はライチョウ、県獣はカモシカというのがあるわけでありまして、長野県に住んでおられる県民220万人が誇りの持てる一つの理念――難しいことでなくして、山紫水明の地であり、日本一の環境県である、そういうことで何かいいものができないかというように思うわけでありまして、今後、シラカバ、リンドウ、ライチョウ、カモシカではございませんが、長野県ってあれだなというもの、アルプスもそうでありましょう、雪もそうでありましょう、山紫水明の地もそうでありましょう、そういう県民だれもが感じられるものを全国へ発信すべきではないかというように思うわけでございまして、私どもにもわかりやすい基本理念をつくっていただくことを要望させていただきたい、このように思う次第であります。  次に、男女共同参画、女性の地位の向上につきましては、よくわかりました。計画立案を来年度からやるということでありまして、非常に前向きに取り組んでおられるというふうに思うわけであります。  しかしながら、私の住んでおります塩尻市のように、男女共同参画、女性の地位の向上に向けて積極施策を講じておる市もあるわけでありますけれども、120市町村の中にはまだまだレベル的にちょいと違うのがあるのかなと、こんな感じを持つわけでありまして、各市町村に対して女性の地位の向上的なものを県としてしっかり発信すべきではないかというように思うわけでございます。これは要望しておきますから、しっかり頑張っていただきたいと、このように思う次第でございます。  以上をもちまして質問を終わります。 ○副議長(森田恒雄 君)この際、15分間休憩いたします。         午後3時24分休憩         ───────────────────         午後3時40分開議 ○議長(中島輝夫 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  次は森司朗君でありますが、同君の質問事項中、人事委員会の所管に属する事項が通告されておりますので、これに対する答弁のため人事委員会事務局長笹田久夫君の出席を求めましたので、報告いたします。  森司朗君。       〔49番森司朗君登壇〕
    ◆49番(森司朗 君)資源循環型社会について知事及び農政部長、林務部長に順次御所見をお伺いしてまいります。  21世紀を目前にして、これからの社会がどうなっていくのか、今、その転換期に直面しております。この区切りの時期に当たり、過去の20世紀の反省の上に立ち返り、新しい生き方を模索することに大きな意義を持つものと考えます。  日露戦争からアジア太平洋戦争、敗戦から占領、そして高度成長政策からバブル経済の崩壊と、世界的にも希有な激動の時代を経験してまいりました。すなわち、戦争の時代と経済の時代、あるいは軍事大国への道と経済大国への道に大きく区分されます。しかし、戦後の50年は、民主主義と自由、そして平和の時代であり、そうした崇高な平和は今後も継承・発展させることをしっかりと基本に据えて、誤った復古を許してはなりません。  さて、高度成長政策は、西洋的な近代国家を目指し、物質的な豊かさが享受される一方で、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動による負の事態が生じております。膨大な廃棄物の排出とこれに伴う処分場の不足という深刻な事態を招き、また、急速な経済による資源の大量消費、二酸化炭素等の大量排出などによる環境悪化を招き、温暖化現象による地球環境の悪化が懸念されております。  指摘するまでもなく、物質的な豊かさを追求してきた大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会構造を大胆に変革し、環境への負荷が少ない資源循環型社会の実現は、時代の要請でもあります。  その実現に向けて、去る全国都道府県議会議長会において、国の予算編成における資源循環型特別枠の創設について決議が行われました。まことに時宜に即した決議であると思います。そこで、この資源循環型特別枠の創設について知事の御所見をお伺いいたします。  私は、具体的な認識として、地球環境への対応、水や大気環境の保全という長期的な課題、廃棄物の減量化やリサイクルという短期的な課題もありますが、特に、農林業における再生資源の循環活用について重要な課題であると考えております。そこで、資源循環型農林業を推進するに当たりどのように取り組んでいかれるのか、農政部長、林務部長にお伺いいたします。  本県における公共交通機関のバリアフリー対策等について企画局長及び住宅部長にお伺いいたします。  働きたい、買い物をしたい、デートをしたい、お年寄りが乗りやすく、乳母車、車いすも使える交通機関を――こんなスローガンを掲げ、障害を持つ人々だれもが使える交通機関を求める全国大行動は1990年の暮れに起こされ、10年ぶりに国会に提出されることとなりました。この交通バリアフリー法案、すなわち「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案」であり、バス、鉄道、空港などの施設へエレベーターやエスカレーターの整備、床面の低いバスや車いすで移動しやすい船舶の導入などを義務づける、違反業者には罰金を科すなどの内容となっております。  平成12年度予算案は年度内成立が確実視されており、予算関連法案である本法律案も今国会で成立することは間違いないと思います。健常者と高齢者や身体障害者が享受できる社会の構築という視点からも、早期実現を期待している一人であります。  既に県内では、信大医療技術短大の理学療法学科と作業療法学科の生徒たちにより、松本市を中心にバリアフリー度調査が進められました。大いに評価できる動きであります。  しかしながら、県の公共施設は、まだまだ障害者や高齢者に優しい施設整備がおくれております。  法案の成立後は、国が基本方針を策定し、これに基づき市町村が重点整備地区における交通バリアフリー化の重点的・一体的な推進を図るための基本構想を策定することとされております。  また、本県におきましても、新幹線の開業に伴う駅の新設や大規模な改良にあわせたエレベーターなどの設置が行われ、また、近年、県内のバス路線においても低床バスが走っているのを見かけます。今回の交通バリアフリー法案がこれらの動きをさらに加速するものと期待しております。  そこで、県内の鉄道駅や路線バスなど公共交通機関のバリアフリー化に対する県の取り組みについて企画局長にお伺いいたします。  また、県有施設のバリアフリー化について現状と今後の取り組みを住宅部長にお伺いいたします。  県職員等採用試験における外部面接官の起用について人事委員会事務局長にお伺いいたします。県政会代表質問の下﨑議員からも同様な趣旨で提案がございました。内容は同感でございますので、全国の状況について触れながら質問をさせていただきます。  県職員等採用試験において、現在、34都道府県では、県職員、教員、警察官の採用試験に、医師、大学教授、弁護士、臨床心理士、教育委員、スクールカウンセラー、民間企業人事担当者などから幅広く登用し、採用の活性化を図っております。試験区分では、県職員、教員、警察官の採用に2県、県職員、教員の採用に4県、教員の採用に26都道府県、県職員の採用に2県となっている現状であります。主な導入の理由として、大きく分けて、人物評価や人物重視のため、高度の専門知識を必要とするため、資質・能力にすぐれた人材確保を図るため等としており、多角的に検討された結果だと思います。全国的にも面接官の民間人起用は主流になりつつあります。  教員につきましては県政会の代表質問で答弁がありましたので、県職員、警察官について人事委員会事務局長にお伺いいたします。  利雪を中心とした雪対策について関係部長にお伺いいたします。  本年の冬期は寡雪に追われ、第49回全国高等学校スキー大会の開催が危ぶまれましたが、飯山市を初め市民の献身的な協力によって無事開催され、飯山南高等学校が地元で男女総合優勝2連覇を達成いたしました。御協力をいただいた皆さんに厚く御礼を申し上げます。  さて、本論に入りますが、我が国は世界でも有数な積雪国であるといわれております。毎年、日本列島に降る雪は、500億トンから900億トンと推定される量だといわれております。従来、冬期間における降積雪は住民生活や産業活動を妨害する邪魔者として扱われ、豪雪地帯では積雪を排除する克雪が課題とされてまいりました。飯山市、中野市など北信広域の除雪費用は、県で約7億円、市町村では約11億2,000万円となります。  今後、このような克雪に追われるだけでなく、「輝く信州の雪国づくり」を目指すためには、雪を単に克服するものとしてでなく、利用し、親しむもの、すなわち克雪から利雪・親雪へ大転換を図らなければなりません。  以下、関係部長に順次お伺いしてまいります。  最初に、生活環境部長にお伺いいたします。  平成9年度から13年度までを計画期間とする第3次長野県総合雪対策計画は、11年度をもって3カ年を終了いたします。この期間は、ちょうど県の財政状況の厳しさが増しております時期と重なっており、事業の進捗状況を懸念いたしておりますが、平成13年度達成目標を達成できるかどうか、お伺いいたします。  次に、平成12年度予算案で、雪対策として、どこに重点を置いて、どう予算化したのか、生活環境部長にお伺いいたします。  次に、第3次長野県総合雪対策計画には、克雪用水の確保のために、雪対策ダムとして清川ダム計画があります。このダムは、昭和44年、記録的な豪雨により災害が発生、鉄橋が破壊し飯山線が不通となり、清川地域に大きな水害が発生したため、そのような災害防止のためにダムをつくり水量を調整するものであります。また、流雪溝への水も供給します。  既に平成4年度から地質調査等が進められておりますが、一部下流住民から反対陳情が提出されております。清川ダムの今後の対応について土木部長にお伺いいたします。  次に、ことしで18回目を成功させました「いいやま雪まつり」は、2月12日、13日の両日、飯山市の城山公園を会場にして開催され、2日間で約10万人が訪れ、大いににぎわいを見せてくれました。ことしは、昭和7年以来といわれる寡雪という雪の少ない条件の中で取り組まれ、会場には10トン車で130台分の雪を運び入れ、雪像づくりに間に合わせました。冬の最大イベントとして定着しております「いいやま雪まつり」は、今後も市民の英知と努力によって引き継がれていきます。  そこで、冬季イベントに対する助成制度について生活環境部長に見解をお伺いいたします。全国的な助成状況は、北海道では2,300万円、青森県では2,200万円を予算化しております。県としても助成制度の充実を前向きに検討してほしいと思います。  次に、現在、雪と共存し、雪エネルギーを利活用しようという利雪技術が各地区で研究開発され、さまざまな形で実用化されております。  従来から雪エネルギー利用について研究しております富山大学理学部の対馬勝年教授は、「毎年変わることなく供給される雪は、クリーンなエネルギー資源である」と指摘しております。実用化は、第1に、昔から雪国で行われてきた雪室を大規模にして農産物の野菜や米などを備蓄するというやり方であります。第2には、雪の冷熱利用による冷房システムで、冬場にためた雪を夏の冷房に利用するというものであります。さらに、将来の可能性として対馬教授は、雪を使った温度差発電や雪面の太陽光反射を利用した太陽光発電の構想を挙げております。  前述しましたが、利雪技術が各地区で研究開発され、さまざまな形で実用化されております。  雪エネルギーを利用した冷房や米備蓄、野菜などの生鮮食料保存など、既に全国100カ所で実例を積み上げております。  中でも、昨年夏から実施された北海道美唄市の世界初といわれる集合住宅での雪の冷房は、各方面から注目されております。雪国にとっては降り積もる雪は邪魔者扱いだが、これを逆手にとってマンションの冷房に利用するという画期的な考えに基づいたものであります。  北海道沼田町では沼田町米穀低温貯留乾燥調整施設がつくられ、1996年度産米が「ぬまた雪中米」として出荷され、消費者からは、新米の香り、風味、つやがあるなど高い評価を受けております。  お隣の新潟県では、雪の冷熱エネルギーを利用した施設として、農産物の貯蔵12施設、冷房5施設ありますが、平成7年から安塚町の雪だるま物産館や津南町の龍神の館などで既に実用化されております。  また、飯山市自然体験施設の森の家では、客室用のログハウスの横にコンクリート製の雪室を設け、ログハウスの冷房、水道水の冷却、野菜の低温貯蔵に生かす実験もしております。  このような事例は、農業と雪を結びつけ付加価値のある農産物をつくる、無用な雪を逆に雪冷房に利用するなど、雪のエネルギー利用は無限の可能性を持っております。雪は、夏まで保存すると大量の冷熱エネルギー資源となり、その利用技術はほぼ完成していると聞いております。  利雪対策は、雪国の雪による街づくり、付加価値をつけた農業の発展、ひいては地球温暖化防止にも貢献できると思いますが、要は実用化に向けた普及にどう取り組むかということになります。  現在の長野県の利雪対策は、全体的におくれていると指摘せざるを得ません。まずは、利雪対策の必要性について具体的にどのような見解をお持ちでしょうか、生活環境部長にお伺いいたします。  次に、本年度、住宅部の新規事業として、太陽光発電モデル県営住宅の建設が始まろうとしております。これは、地球温暖化や環境問題への対応が国際的課題となる中で、太陽エネルギーに代表されるように、利用してもなくなることがなく、再生可能であるとともに、化石エネルギーの燃焼に伴って排出される二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物などの大気汚染物質を排出しないクリーンなエネルギーの利用であり、今後も積極的な利用を期待したいものであります。  私は、さらに一歩踏み込んで、豪雪地帯に建設する県営住宅に雪による冷熱利用の雪冷房県営住宅モデル事業を取り入れたらどうかと提起しますが、住宅部長の見解をお聞かせください。  また、北信地域は、ブナシメジ、エノキ等を中心とするキノコ生産地であり、地域経済にかなり貢献をしておりますが、キノコ価格は依然として低迷状況が続いております。これが打開のためには、コストの一層の低減と、高品質のキノコ生産により競争に打ち勝てる経営体質の強化を図ることが基本であると思います。  電気料コストの一層の低減対策を進めるために、キノコ栽培施設に雪による冷房施設の導入を図るべきと考えます。あわせて、米、野菜冷房施設の雪による冷房施設の導入について農政部長にお伺いいたします。  また、保育園、老人福祉施設における雪による冷房施設の活用について社会部長にお伺いいたします。  次に、豪雪地帯における道路状況は、除雪体制の充実や消雪施設の設置により、現在、最大の課題であります冬期交通の確保が図られております。特に、地盤沈下のおそれもない無散水消雪施設が主流となっております。  今後の市町村道における無散水消雪施設の整備と県の補助率のかさ上げについて土木部長にお伺いいたします。  中山間地域の直接支払い制度について農政部長にお伺いいたします。  昨年7月に制定された新たな農業基本法において、農業の多面的な機能の発揮が理念の一つとして示され、こうした中で中山間地域の直接支払い制度が決定されました。  もとより、中山間地域は、下流地域の都市住民を含む国民全体の生命・財産を守るという公益的な役割を果たしており、具体的には、代替法による評価の一例として、洪水の防止、水資源の涵養、有機性廃棄物の処理、大気の浄化など、3兆円に相当する価値があるといわれております。  しかし、中山間地域では、高齢化が進行し、自然条件の厳しい中で農業の生産条件が不利な地域であることから耕作放棄地が増加し、農業・農村の有する公益的機能の維持が懸念されてまいりました。そうしたことから、中山間地域においては、食糧生産活動の維持と農村の活性化を通じて公益的機能の維持・発揮をねらいとして、今回、確立された制度であります。  長野県農業は、変化に富んだ自然的立地条件や三大消費地に近い条件を利用した多様な農業生産が行われ、国内でも有数な農業県を誇っております。しかし、一方では、遊休農地の増加、高齢化の進行、農業後継者の減少などの課題があります。  県は、地域営農システムづくりなど、農業・農村の発展、地域活性化に向けた取り組みが進められてきましたが、今回の中山間地域の直接支払い制度の有効活用によって長野県農業のさらなる発展を期待します。  県は、中山間地域農業直接支払事業交付金として11億7,400万円を計上し、対象地域は78市町村で8,726ヘクタールになりました。  以下、細部についてお伺いします。  国の対象は、特定農山村法、山村振興法、過疎法の指定地域となっており、県内では99市町村でありますが、この3法指定地域内の取り組み状況はどうなっておりますか。  また、本制度は地域の実態に応じて地域指定ができる知事特認が認められており、16市町村で面積2,000ヘクタールと聞いておりますが、どのような基準で取り組まれておりますか、お伺いいたします。  さらに、平成12年度の対象地域は78市町村であり、実施予定の対象面積は条件が適合する対象農地全体の約半分になったといわれておりますが、その理由を具体的にお伺いいたします。  次に、中山間地域の多面的な機能を発揮するためには、今回の直接支払い制度だけでは不十分であると思います。今後、県独自の中山間地域の農業活性化施策を考えておられますか、その決意のほどをお伺いいたしまして、時間がありませんので質問を終わりたいと思います。       〔知事吉村午良君登壇〕 ◎知事(吉村午良 君)資源循環型社会構築につきましての御質問でございます。  この問題は、我が国だけではなくて、今や地球規模の大きな課題でもございます。それだけに、国も、また私どももそのための努力をしてまいった次第でございます。  国におきましては、御指摘のように、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から脱却し、環境への負荷をできる限り低減しながら、持続的に発展する社会経済システムの構築ということを目指しておりまして、新年度を循環型社会元年と位置づけまして、その基本的理念や基本的枠組みを定める循環型社会基本法案を初め、生産者の責任をより強化してリサイクルを進めるための各種法案を今国会に提出するというふうに聞いております。  国、地方、事業者、そして国民が一緒に資源循環型社会に向けましてスタートしようというこの時期に、都道府県議長会が今お話のような決議をされましたことは、まことに時宜を得たものというふうに歓迎をする次第でございます。  県といたしましては、先ほど申し上げました国の新たな動向を注視いたしますとともに、資源循環型社会構築に向けまして、地方財政への支援、事業者等に対する融資制度あるいは税制上の優遇措置の拡充などにつきまして、御指摘の特別枠創設の趣旨も踏まえ、国の方で明年度せっかく努力するように運動してまいりたいと、このように考えております。       〔農政部長高野義文君登壇〕 ◎農政部長(高野義文 君)順次お答えします。  農業は、本来、自然循環機能を活用する産業でありますので、資源循環型農業の推進は、環境と調和した持続的農業を展開していく上で不可欠でございます。  農業から排出される、わら25万トン、家畜排せつ物125万トン、キノコ残渣25万トンなどは大きな資源であり、食品加工業等から排出される食品残渣などと合わせた有機性資源を堆肥、飼料等に利活用する循環利用システムの確立が大変重要でございます。  このような取り組みは既に一部の地域で実行されておりますが、定着しにくい側面もありますので、これを全県的な取り組みとするため、県では、関係機関・団体と連携して、平成12年度に有機性資源リサイクルプランを作成することとしております。  このプランは、有機性資源のリサイクル可能量の把握、堆肥需給マップの作成など、今後の活用方法や需給計画、供給体制等を内容とするものを考えており、地域におきましても同様のプラン作成を推進し、このプランに基づく施設整備等を支援するとともに、堆肥や飼料としての広域的な流通をも促進し、有機性資源の循環利用を一層進めてまいりたいと考えております。  2点目のキノコ等の農業施設への利雪による冷房施設の導入についてですが、キノコ栽培における電気料は、周年栽培では経営費全体の5%から7%のウエートを占めており、その低減対策を講じることが重要と考えております。  利雪による冷房は、節電対策の一つとして注目しているところであり、本年度、飯山市が、林業構造改善事業でJAの種菌センターへ貯蔵した雪の冷熱をキノコ栽培の冷房に活用するという方式をモデル的に導入することとしております。  また、生産者段階への導入については、県、市町村、JA等から成る北信利雪農業開発推進協議会で、本年度から5年間の計画でキノコ栽培施設での実用化に向けた試験を行い、栽培上の課題や費用対効果等について調査研究を進めてまいります。  なお、米や野菜施設等への雪利用については、これまで簡易で小規模な雪室等については本県でも取り組んできた経過がございますが、大型施設への導入については費用対効果等に課題もあると聞いておりますので、お話のありました他県事例での稼働状況などを参考にしながら研究・検討してまいりたいと考えております。  3点目の中山間地域直接支払いについてですが、まず、3法指定地域内での取り組み状況についてのお尋ねですが、対象となる99市町村のうち、平成12年度は69市町村が事業の実施を希望しており、その対象面積は6,707ヘクタールとなっております。  二つ目の特認地域の基準についてですが、法指定地域以外にも同等の条件不利な農地が存在するため、公平性の確保が必要であるとの観点から、これらの地域においても、3法指定地域と同様に、水田では20分の1、畑では15度以上の急傾斜農地及びこれにつながるそれぞれ100分の1以上、8度以上の緩傾斜農地を対象としたいと考えております。  三つ目の実施予定面積が対象農地全体の約半分となっている点についてのお尋ねですが、傾斜度などの基準を満たす農地は県全体で1万7,580ヘクタールと見込まれておりますが、要望調査の結果、農業者間の合意形成など地元の体制づくりにさらに時間を要するという市町村もあり、平成12年度の実施予定面積は、御指摘のとおり、その約半分に相当する 8,726ヘクタールとなっております。  なお、12年度に事業の実施を見合わせた市町村のうち、30市町村が13年度から新たに取り組む意向であります。  四つ目の中山間地域の農業活性化施策についてのお尋ねですが、県では、長野県農業長期ビジョンにおいて中山間地域農業の活性化を一つの大きな柱とし、その実現に向け、これまで、中山間地域を対象にした中山間地域特別農業農村対策事業等の県単事業や、中山間地域総合整備事業等の国庫補助事業を総合的に実施してきたところでございます。  今後も、新たに実施されます直接支払い事業とあわせ、引き続き従来からの各種施策を積極的に進め、立地条件を生かした農業の振興、地域産業と連携した農業の高付加価値化、グリーンツーリズムなどの多様な交流の促進を図り、中山間地域農業の活性化を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔林務部長古林弘充君登壇〕 ◎林務部長(古林弘充 君)お答えいたします。  資源循環型林業の推進に向けた取り組みについてのお尋ねでございますが、林業は、太陽と水と土という自然の恵みを最大限利用し、植栽や天然更新、それに続く保育、収穫、利用、そしてまた植栽、更新というように、間断なく生産を繰り返す、クリーンで、まさに循環型の産業でございまして、このような林業生産活動によりまして、森林は絶えず更新されながら循環しているものでございます。  この間、森林は、国土の保全など多様な公益的機能を発揮することはもとより、二酸化炭素を吸収・固定することによりまして地球温暖化の防止にも大きく貢献しております。  このように循環する森林から供給されます木材資源は環境に与える負荷が非常に少なく、この木材を使うことが資源循環型社会の実現にかなうものでございますので、県産材のさらなる利用拡大に努めてまいりたいと考えております。  また、木材の生産や加工の際に発生します枝や樹皮、端材をチップ化して利用したり、おがこを堆肥化するなど多段階の利用や、使用済みの木材のリサイクルを図っていくことも重要であると認識しております。  最近の事例を挙げますと、杉やヒノキの樹皮を緑化資材や土質改良材として利用したり、また、廃材をチップ化して家畜の敷材として利用するなどの取り組みが出てきております。  このような取り組みの中で、県といたしましては、12年度におきまして、加工過程で発生する端材を木材乾燥機の熱源に利用する施設の整備に支援してまいりたいと考えております。  さらに、未利用の木質資源等を熱源のほか発電にも利用する、いわゆるバイオマス利用という新たな分野も注目されておりますことから、国と連携しながら木質資源の利活用について調査研究してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、地球環境の保全や資源循環型社会の構築に向けまして、多様な機能を持続的に発揮できますよう、森林の整備を積極的に進めてまいる所存でございます。       〔企画局長青木輝政君登壇〕 ◎企画局長(青木輝政 君)公共交通機関におけるバリアフリー化に対する県の取り組みについてのお尋ねでございます。  今国会に提出されましたいわゆる交通バリアフリー法案は、高齢者や身体障害者等の移動利便性や安全性向上の促進を図ることを目的として、鉄道や路線バスといった公共交通機関の施設や車両を改善するとともに、交通施設を中心とした一定地区における道路、駅前広場等の整備を推進することとしております。  本県でも、長野県新交通ビジョンにおいて、高齢者や障害者を初めだれもが利用しやすい交通施設の整備を促進することを基本目標の一つに掲げ、関係部局と連携を図りながら交通基盤整備に努めてきているところでございます。  御質問にもございましたように、県内では近年、鉄道事業者と市町村等との連携による駅へのエレベーターやスロープの設置が進められておりますし、パラリンピックを契機に市街地の路線バスにもリフトつきバスや低床バスの導入が進められてきております。  また、今般、バリアフリー化のための事業を実施する交通事業者に対し、運輸施設整備事業団を通じて補助金が交付されると聞いておりますので、一層の普及が図られることが期待されます。
     鉄道やバスなど公共交通機関のバリアフリー化は、日常生活の足の確保はもとより、利用者の増加による公共交通の活性化にも資することから、県といたしましては、国の法制化の動向を注視するとともに、交通事業者や市町村等関係機関との連携に努め、障害者や高齢者などの皆さんのニーズに沿った交通のバリアフリー化を進めてまいりたいと考えております。  以上です。       〔住宅部長柳澤一則君登壇〕 ◎住宅部長(柳澤一則 君)お答えいたします。  初めに、県有施設のバリアフリー化についてのお尋ねでございますが、県有施設の整備に当たりましては、いわゆるハートビル法と福祉のまちづくり条例に基づきまして、人に優しい施設の建設を進めてきているところでございます。  特に、大勢の皆さんが利用する施設におきましては、福祉関係者の意見をお聞きするなどしまして、高齢者や障害者に対応したきめ細かな整備を図っております。また、既存の施設につきましては、エレベーターを設置したりスロープを確保するなど、バリアフリー化のための改修を順次実施しているところでございます。  今後とも、県有施設の整備に当たりましては、高齢者や障害者を初めとしてすべての県民が安心して利用できる施設づくりを推進してまいる所存でございます。  次に、県営住宅に雪を活用した雪冷房県営住宅モデル事業を取り入れることについてのお尋ねでございますが、雪を住宅の冷房として活用するということは、クリーンエネルギーの利用という観点から見ますと有益なものと考えております。  しかしながら、このシステムは、雪を貯蔵する施設や配管設備など初期投資に相当の費用を要すること、また維持管理費がどの程度になるかなど、現状では検討すべき課題も幾つかあるのではないかと考えております。  したがいまして、お話にもございました北海道美唄市における集合住宅への導入実例の成果や今後の技術開発の進展状況などを踏まえまして、研究してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔人事委員会事務局長笹田久夫君登壇〕 ◎人事委員会事務局長(笹田久夫 君)お答えいたします。  県職員等採用試験における外部面接官の起用についてのお尋ねでございますが、本県の職員採用試験及び警察官採用試験におきましては、1次試験で教養試験、専門試験などの筆記試験、2次試験で面接試験を実施しておるところであります。面接試験は、すべての試験区分において個別面接を行っているほか、県職員上級試験の「行政」の試験区分では集団討論をあわせて実施しております。  採用試験におきましては、筆記試験において試される知識や知能といった側面だけでなく、それらを行政の現場で発揮していくための幅広い資質・能力についても評価をする必要があります。このため、受験者の人物面の評価が非常に重要であり、人物評価の場としての面接試験は従来にも増して重要なものとなってきていると認識しております。  そこで、面接に際しましては、能力と意欲のある人材を幅広く採用できますよう、試験員の主観を極力排除いたしまして客観的な評価をするように努めておりますほか、採用試験全体を通じまして、受験者が県及び警察行政を取り巻く環境の変化を的確に認識し、柔軟かつ適切に対応していく能力を有しているかについても評価しているところであります。  このように、従来から時代の要請を反映した評価の視点を取り入れながら採用試験を実施してきているところでありますが、さらに優秀な人材を確保するため、お尋ねのありました民間の方の面接試験員への起用につきましても、その効果等を調査するなど、今後、研究を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔生活環境部長中平龍興君登壇〕 ◎生活環境部長(中平龍興 君)利雪を中心とした雪対策についてのお尋ねでございますが、順次お答え申し上げます。  まず、第3次長野県総合雪対策計画の進捗状況でございますが、道路交通の確保といたしまして、豪雪地帯の道路改良済み延長につきましては本年度末までの見込みで1,482.4キロ、進捗率はおおむね75%、無散水消雪パイプの敷設は24.4キロで進捗率は65%、雪崩防止さくについては30.7キロで進捗率は73%、それから県土保全対策といたしましては、雪崩防止林の整備が59ヘクタールで進捗率は45%、雪対策砂防ダムが11基となり進捗率は71%、主なものでございますけれども、このようになっております。  このほか、既に目標を達成したもの、それから若干困難なものまでございますが、それぞれ目標達成に向けまして各部局連携の中で効果的な事業推進に努めてまいりたいと、このように考えておるところであります。  次に、12年度予算についてどうかというお尋ねでございますが、克雪対策をより一層進めますとともに、雪を利用し、雪に親しむ利雪・親雪対策を推進するため、それぞれの部局で施策を展開することとしておるわけであります。  重点施策について幾つか申し上げますと、「雪国発展の基礎づくり」といたしましては、冬期における安全で快適な生活や経済活動の基盤整備ということで、道路改良あるいは除雪、交通安全施設の整備等に194億9,000万円余を計上しておりますし、それから、特別豪雪地帯市町村基幹道路整備事業あるいは雪寒地域道路整備事業については11年度当初を上回る予算を計上するなど、豪雪地域の生活基盤の整備を進めてまいることとしております。  それから、「雪に強い安全な県土づくり」といたしましては、雪崩防止施設の整備など災害防止対策予算を12億6,000万円余と増額計上し、雪国の安全確保に一層努めてまいることとしております。  それから、利雪や親雪を推進する「雪を生かした地域づくり」といたしましては、木島平村のクロスカントリースキー場などの整備に引き続き助成いたしますほか、スキー客誘致などの観光キャンペーン推進事業や第56回国民体育大会冬季大会スキー競技会の開催経費など、本年度を大幅に上回る4億3,000万円余を計上しておるわけであります。  このほか、「豊かな雪国を築く産業づくり」や「雪と調和した住みよい生活環境づくり」につきましても、引き続き推進してまいることとしております。  次に、冬季イベントに対する助成制度についてでございますが、県内各地で、年間を通じ、創意工夫を凝らした、あるいは伝統に裏打ちされたさまざまな祭りなどのイベントが地域の方々の手によって開催され、地域の活性化や住民の皆さんに心の豊かさをもたらしているということで、御案内のとおりであります。  豪雪地帯におきます冬季のイベントは、雪国の活性化という観点からも、利雪や親雪という観点からも、重要なものでございます。各種のイベントに対しましては、これまでもモデル事業としてのイベントや先進的なイベントなどに対しましては国土庁の補助制度などによって助成を行ってきたところでございますが、冬季イベントに対しての助成制度を新設するといったことは現状ではなかなか難しいと、このように考えておるわけであります。  県といたしましては、従来からの制度をより一層活用するということで積極的な支援をしてまいりたいと、こんなふうに思っているわけであります。  最後に、利雪対策の必要性についてのお尋ねでございますが、第3次長野県総合雪対策計画におきましても、克雪にとどまらず、利雪・親雪を推進することにより豊かで暮らしやすい雪国づくりを目指しておるわけでございまして、各地でスキーなどのウインタースポーツが行われ、国際大会で通用する多くの選手を輩出し、オリンピックの開催も大きな実を結んだ利雪・親雪の一つであるというふうに考えておるわけであります。  また、お話にございました雪の冷熱エネルギーは、環境への影響の少ないクリーンエネルギーとして、その価値ははかり知れないということでもございますので、この利用が広く実用化されることに大きな期待を持っておるところでございます。  現在、国土庁や各機関において、雪エネルギーの活用状況あるいは活用に当たっての技術的問題とかコスト面の課題、こういったことについて調査研究が進められておるところでございますが、本県といたしましても、庁内関係部局で組織しております雪対策推進委員会というのがございますが、こうした中で調査研究の結果や先進事例などについて十分研究をいたしまして、御質問の趣旨も踏まえながら検討をしてまいりたいと、こんなふうに考えておるところでございます。  以上であります。       〔土木部長小川健君登壇〕 ◎土木部長(小川健 君)順次お答え申し上げます。  まず、清川ダムについてでございますが、清川ダムは、下流域の皆様の生命・財産を洪水被害から守り、河川が本来持っている維持流量を確保して、清川沿川の既得用水の補給や豊かな河川環境の保全を図ることを目的として、飯山市静間地区に計画している治水ダムでございます。また、冬期間はダムにためた水を豪雪地帯である飯山市の流雪用水として利用しようとするものでございます。  平成4年度から実施計画調査として、これまでに地質調査や治水計画の検討などを進めてまいりました。また、地域の皆様には、ダムの計画について御理解を得るため、説明会や現地見学会を開催してきたところでございます。  今後は、さらに補足調査を進め、飯山市において作成しております流雪溝整備計画との調整を図りながら、ダム計画を総合的に検討するとともに、引き続き地域の皆様に説明してまいります。  次に、市町村道における無散水消雪施設の整備についてでございますが、無散水消雪事業につきましては、平成10年度より、新たに市町村道につきましても雪寒地域道路整備事業として国庫補助事業の対象となりました。  現在までにこの事業を行っております市町村は、豪雪地帯の飯山市を初め、木島平村、野沢温泉村、白馬村、小谷村でありまして、これまでに13カ所で延長にいたしまして約3キロメートルが整備されております。平成12年度におきましても、飯山市、中野市ほか3村の7カ所を国に要望しているところでございます。  無散水消雪方式は、従来の散水消雪方式では生じやすい水はねや凍結発生のおそれが少なく、快適な道路環境の確保に効果的であるため、県におきましても積極的に採用している方式でございます。今後も市町村におきまして計画的な施設整備が図れるよう、国に働きかけてまいりたいと考えております。  また、県の補助率のかさ上げについてでございますが、財政状況が厳しいことから困難でありますので、御理解いただきたいと思います。  以上です。       〔社会部長上原芳晴君登壇〕 ◎社会部長(上原芳晴 君)保育園や老人福祉施設における雪による冷房施設の活用についてのお尋ねでございます。  降雪の多い地域において雪を利用した冷房システムをこのような施設で活用することは、利雪や環境に優しい社会づくりの面にとどまらず、子供やお年寄りの健康の面からも一つの有効な方法であると考えております。  ただ、現状では、コスト面、技術面などまだまだ検討すべき課題もあるのではないかと思われますので、今後の技術開発の動向を見守ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(中島輝夫 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、来る3月6日午前11時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時35分散会...